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ニューヨーク株式市場の主要3指数が揃って下落した。米国経済の指標となるウォルマートが期待外れの業績見通しを発表したことに加え、新たな先行経済指標が悪化したため、売り圧力が強まったと分析されている。
19日(現地時間)、ニューヨーク証券取引所(NYSE)でダウ工業株30種平均は前日比450.94ポイント(1.01%)安の4万4,176.65で取引を終えた。S&P500指数は同26.63ポイント(0.43%)安の6,117.52、ハイテク株主体のナスダック総合指数は同93.89ポイント(0.47%)安の1万9,962.36で引けた。一時1%台まで下落したナスダックとS&P500指数は、押し目買いが入り下げ幅を縮小した。
この日の株式市場はウォルマートの業績と景気先行指数(LEI)の悪化によりショックを受けた。消費者心理の冷え込みが株価を押し下げたとみられる。
ウォルマートは前年第4四半期の調整後1株当たり純利益(EPS)が0.66ドル(約99円)だったと発表した。売上高は1,805億5,000万ドル(約27兆1,537億円)に達した。両数値ともLSEGが集計した市場予想を上回った。
しかし、今年度の業績見通しを慎重に示したことが市場の失望を招いた。ウォルマートは今年度の売上高が3~4%、営業利益が3.5~4.5%増加すると予想しているが、これは市場予想を下回る水準だ。
これを受け、ウォルマート株は6%超下落した。ウォルマートの業績悪化を受け、競合のコストコも約3%下落した。
RJオブライエン・アンド・アソシエイツのディレクター、トム・フィッツパトリック氏は「ウォルマートが悪いガイダンスを出せば、それに注意を払う必要がある」とし、「一般消費者が疲弊していることを示唆している可能性がある」と分析した。
米国の景気先行指数が1月に下落し、前2か月間の上昇分をほぼ帳消しにしたことも投資家心理を圧迫した。米経済分析機関コンファレンスボードは、1月の米国景気先行指数が前月比0.3%下落し101.5となったと発表した。前月の0.1%上昇から減少に転じ、市場予想の0.1%下落をも下回った。
コンファレンスボードのシニアマネージャー、ユスティナ・ザビンスカ・ラ・モニカ氏は「消費者の将来の経済見通しが悪化したことと製造業部門の週労働時間の減少が主な下落要因となった」と述べた。
米国の週間新規失業保険の申請件数が予想を上回り増加したことも、景気減速への不安を煽った。米労働省によると、15日までの1週間に新たに失業保険を申請した人数は、季節調整済みで21万9,000人となり、前週より5,000人増加した。
この日、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーも約4%下落した。ビザやアメリカン・エキスプレスなどのカード会社も1%台の下落となった。
ビッグテック(巨大IT企業)は明暗が分かれた。アップル、エヌビディア、マイクロソフトは小幅高、アマゾン、メタ・プラットフォームズ、テスラは1%台の下落となった。アルファベットは小幅安だった。
米人工知能(AI)データ分析企業パランティアは、この日も下落が続いた。米国防総省が毎年予算を8%削減する可能性があるとのニュースが悪材料となった。ただし、下落幅は一時10%を超えたが、午後には5%台まで縮小した。
業種別では、一般消費財と生活必需品が1%前後下落し、金融も1.55%下落した。
主要中央銀行の関係者らは政策の不確実性に言及した。シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁は、ドナルド・トランプ政権の関税政策が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と同程度の大きな供給ショックを引き起こす可能性があると懸念を示した。
グールスビー総裁は「米国のインフレは2022年に記録した40年ぶりの高水準から低下する大きな進展があったが、経済の不確実性や新政権の関税政策、地政学的問題がインフレに影響を与える可能性がある」とし、「追加関税はCOVID-19規模のショックを引き起こす可能性がある」と指摘した。
アトランタ連邦準備銀行のラファエル・ボスティック総裁は「米国が新たなインフレの爆発に直面しているとは考えていないが、新たな関税、移民規則、規制の変更が見通しにどのような影響を与えるかについて広範な懸念がある」と述べ、「全体として、今後数か月間、インフレが連邦公開市場委員会(FOMC)の2%目標に到達するために険しい道のりが続くと考えている」と評価した。