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20日(現地時間)、世界の株式市場はドナルド・トランプ大統領の関税計画や地政学的リスクの高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の慎重な金利政策を背景に、全般的に軟調な展開となった。リスク回避の動きが強まる中、金の現物価格は米国市場で1オンス当たり2,970ドル(約44万6,955円)を突破した。
アジア市場では、日経平均株価が円高を受けて1.5%の下落となった。中国のハイテク株も利益確定の動きで一服した。ディープシークの画期的な成果に後押しされ、中国ハイテク株が全般的に上昇し4か月ぶりの高値を記録していた香港ハンセン指数は1.3%の下落を記録した。
欧州市場では、欧州全域をカバーするSTOXX欧州600指数が1%近く下落したほか、S&P500先物およびナスダック100先物も米東部時間の早朝時点で前日比0.3%下落した。
金の現物価格は、米東部時間午前4時30分時点でニューヨーク商品取引所(NYMEX)において2,973ドル(約45万7,316円)を記録し、過去最高値で取引されている。金価格は昨年27%上昇した後、今年に入ってからも12%上昇している。
安全資産とされる円は、対ドルで150.065円と、12月初旬以来の高値を記録した。日本銀行関係者が利上げに言及するとみられる。円とユーロを含む通貨バスケットに対するドル指数は0.16%下落し、107.06となった。
トランプ大統領は今週、自動車、半導体、医薬品の輸入に関税を課すと警告し、新たに木材も対象に加えた。
ロイターによると、一部のアナリストはトランプ大統領の動きを交渉戦術とみているが、貿易戦争への懸念も広がっていると説明した。
ウクライナ戦争終結に向けた米露協議の最中、トランプ大統領がプーチン大統領ではなくウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と非難したことで、欧州各国に衝撃を与え、地政学的リスクも高まった。
米国時間、前日午後に公開されたFRBの1月会合議事録によると、トランプ大統領の関税提案がFRB内部でインフレ懸念を引き起こしたことが明らかになった。金融政策を決定するFRB理事らは、輸入関税によって企業がコストを転嫁するために価格を引き上げると予想していると述べた。
IGのマーケットストラテジストであるイム・ジュンロン氏は「トランプ大統領の政策は、FRBがインフレと雇用のバランスを取ることをより複雑にし、政策当局者に慎重な姿勢を取らせている」と指摘した。
LSEGのデータによると、トレーダーはFRBが今年中に金利を39ベーシスポイント(1bp=0.01%)引き下げ、最初の利下げは9月になるとの見方を示している。
原油価格が1週間ぶりの高値から下落した一方、小麦価格は5営業日連続で上昇し、10月以来の最高値に迫った。ロシアとアメリカの寒波が小麦の収穫に悪影響を与えるとの懸念が背景にある。
シンガポールのOCBC銀行で投資戦略担当マネージングディレクターであるバス・メノン氏は「FRBの政策とトランプ大統領の関税方針に関する不確実性が投資家を不安にさせるだろう」と述べ、今年は市場のボラティリティが高まることを投資家は覚悟すべきだと続けた。