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世界最大の暗号資産取引所の一つであるバイビット(Bybit)が約2,000億円規模のハッキング被害を受けたことが明らかになった。この事件は暗号資産史上最悪のハッキング事件とされ、北朝鮮のハッキング集団による犯行である可能性が指摘されている。
21日(日本時間22日)、ブルームバーグ通信によると、暗号資産取引所のバイビットがハッキングを受け、14億6000万ドル(約2,180億円)相当の暗号資産が盗まれた。
バイビットのベン・ジョウCEOはこの日、X(旧ツイッター)で「ハッカーがバイビットのコールドウォレット(オフラインのイーサリアムウォレット)の一つを奪取した」と発表した。
ブロックチェーン分析家のZachXBTは、これにより14億6000万ドル相当の資産が不審な取引を通じてウォレットから流出したと説明した。
ブロックチェーンデータ追跡プラットフォームのArkham Intelligenceも約14億ドル(約2,090億円)の資金流出を確認し、「この資金が新たなアドレスに移動され、売却されている」とXに投稿した。
今回のハッキング事件は、2014年のMt. Gox(4億7,000万ドル)や2021年のPoly Network(6億1,100万ドル)の事件を上回る史上最大規模のハッキングとされている。
2018年に設立されたバイビットは、1日の平均取引量が360億ドル(約5兆3,800億円)を超える、世界最大級の暗号資産取引所の一つであり、かつて取引量で世界2位にランクインしたこともある。
ドバイに本社を置くこのプラットフォームは、ハッキング前に約162億ドル(約2兆4,200億円)の資産を保有していた。盗まれたイーサリアムは総資産の約9%に相当する。
ブロックチェーン分析企業のNansenによると、この日バイビットからハッキングされた資金はイーサリアムとイーサリアムの派生商品で構成されていた。これらの暗号資産はまず1つのウォレットに移された後、40以上のウォレットに分散された。
また、派生商品はすべてイーサリアムに変換された後、2700万ドル(約40億円)ずつ10以上の追加ウォレットに移されたとNansenは説明している。
Arkham Intelligenceは、ZachXBTが北朝鮮のハッキング集団「ラザルス」の犯行であるという証拠を提示したと発表した。
バイビットの調査を支援しているブロックチェーンセキュリティ企業のFireblocks社も「今回のハッキングは昨年発生したインドの暗号資産取引所WazirXと貸付プロトコルのRadiant Capitalへの攻撃と類似している」とし、「両事件とも北朝鮮の仕業だった」と説明した。
北朝鮮のハッカー集団は、WazirXから2億3490万ドル(約350億円)、Radiant Capitalからは5000万ドル(約75億円)規模の暗号資産を盗み出した疑いがもたれている。
近年、北朝鮮は数年にわたり暗号資産取引所などへのハッキングを通じて暗号資産を盗み出し、現金に換金した後、核兵器開発などに使用しているという疑惑がある。
日米韓3カ国は先月、共同声明を発表し、昨年発生した6億6000万ドル(約986億円)規模の暗号資産窃取事件の背後に北朝鮮がいると公式に指摘した。
また、2019年11月に暗号資産取引所「Upbit」に保管されていたイーサリアム34万2000個が盗まれた事件に関連し、韓国警察庁国家捜査本部は、北朝鮮の偵察総局に所属するハッカー集団「ラザルス」と「アンダリエル」など2つの組織が犯行に加担した事実を確認したと明らかにした。
この日、バイビットの大規模ハッキングのニュースを受けて、暗号資産の価格は軒並み下落した。暗号資産取引所のCoinbaseによると、この日の午後3時45分時点でビットコインの価格は24時間前と比べて2.42%下落し、9万6116ドル(約1,430万円)で取引されていた。ビットコインは一時9万5000ドル(約1,420万円)を割り込む場面もあった。
イーサリアムは3.04%下落して2660ドル(約40万円)、XRP(リップル)は4.62%下落して2.57ドル(約380円)となった。ソラナとドージコインもそれぞれ4.03%と6.12%下落し、168ドル(約2万5,000円)と0.24ドル(約36円)を記録した。