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個人情報流出への懸念から、国際社会では中国の人工知能(AI)モデル「ディープシーク」へのアクセスを遮断する動きが広がる一方、中国国内ではその活用が拡大している。
香港の英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」は20日(現地時間)、中国の地方政府が公務員に対し、ディープシークのAIモデルを活用した意思決定を求めていると報じた。
中国河南省(かなん省)鄭州市(ていしゅう市)の共産党書記は、地方政府の幹部に対し「ディープシークなどのAIモデルを徹底的に研究・習得し、意思決定に最大限活用するよう」指示した。
また、中国のインターネットメディア「ザ・ペーパー」によると、広西チワン族自治区来賓市(ライヒン市)の地域政府も「幹部は新技術を積極的に学ばなければならない」とし、「意思決定や分析、問題解決の支援にAIを活用すべきだ」との方針を示した。
SCMPは、公務員の意思決定に特定のAIモデルの使用が指示されたのは今回が初めてだと報じている。さらに、中国の大学でも新学期の開始に伴い、ディープシークの教育システムへの導入が進んでいる。
一方、中国は、OpenAIのChatGPTの開発費のわずか5%程度の低コストでディープシークを開発したとされる。 また、思想検閲やデータの過剰収集への懸念から、日本、米国、英国、韓国などではディープシークへのアクセス遮断が進められている。