
暗号資産取引所のハッキング事件の影響が続く中、ビットコインは25日(現地時間)、アジアと欧州市場で一時8万8,000ドル(約1,313万3,117円)まで下落し、昨年11月中旬以来の最安値を記録した。
25日、時価総額で世界最大の暗号資産であるビットコインは、ロンドン市場で午前8時50分現在、8万9,700ドル(約1,338万6,825円)で取引されている。午前の早い時間帯には8万8,000ドル台前半まで下落する場面も見られた。
先週、暗号資産取引所バイビットで15億ドル(約2,238億5,995万円)規模のハッキング被害が発生した影響を受け、イーサリアムは一時11%急落し、2,333ドル(約34万8,176円)と10月以来の最安値を付けた。リップルやソラナなど他の仮想通貨もほとんどが急落した。
コイングラスのデータによると、デリバティブ市場では24時間で13億4,000万ドル(約1,999億8,155万6,124円)を超える暗号資産のロング(買い)ポジションが清算された。
ビットコインはトランプ大統領の当選で上昇の勢いを得たが、その後の関税威嚇やインフレ上昇の懸念により、1月の就任以降は約20%下落している。
暗号資産取引所インディペンデントリザーブのCEO、エイドリアン・プルゼロズニ氏は「ビットコインの下落は、マクロ経済の不確実性とトランプ大統領が発表した関税方針の影響を受けている」と指摘した。
加えて、暗号資産を巡る信頼性の問題が再び市場に影響を与えている。
トランプ大統領とメラニア夫人が当選直後、トランプ大統領と3人の息子が所有する会社を投じてミームコインを発行した。アルゼンチンのミレイ大統領に関連したミームコインスキャンダルが発覚し、暗号資産市場の信頼を低下させた。
「コインゲッコー」のデータによると、トランプ大統領関連のミームコインは発行直後にピークを迎えた後、現在は80%以上下落しているという。
さらに先週末には、リップルに対する過去最大規模の暗号資産取引所のハッキング被害が発生し、取引所の信頼性問題が再び浮上した。
特にバイビットのハッキングは、デジタル資産プラットフォームの安全性への懸念を増幅させた。アナリストらによると、北朝鮮と関連があるとされるハッカー集団が先週の攻撃で約15億ドル相当のイーサリアムを盗み出し、迅速に資金洗浄を始めたとされる。複数の研究者は、「今回の暗号資産事件は、北朝鮮ハッカー軍の高度化を示している」と指摘している。
ブルームバーグは、「ビットコインなどのデジタル資産は、こうした要因により、テクノロジー株とは異なる動きを見せている」と報じた。
暗号資産デリバティブに流動性を提供するオービット・マーケットの共同創業者、キャロライン・モラン(Caroline Mauron)氏は「バイビットのハッキング事件は、疑わしいミームコインの発行に続き、デジタル資産市場の参加者に不安を与える要因となった」と語った。