ストラテジーのマイケル・セイラー会長が再び暗号資産(仮想通貨・コイン)市場の主役であるビットコイン(BTC)に強気の姿勢を見せた。
彼は米国政府が2035年までに全ビットコイン供給量の25%を確保すべきだと主張した。

セイラー氏は最近公開した報告書「21世紀のグローバル経済を支配するためのデジタル資産戦略(A Digital Assets Strategy to Dominate the 21st Century Global Economy)」で、「米国は2025年から2035年まで毎日着実にビットコインを購入し、国家のための戦略的ビットコイン準備(Strategic Bitcoin Reserve)を構築すべきだ」と強調した。
「ビットコインは絶対に売るな」…セイラーの強力なメッセージ
セイラー氏はこの報告書を7日(現地時間)ホワイトハウスで開催された暗号資産サミット(Crypto Summit)でドナルド・トランプ米大統領、政府関係者、グローバル暗号資産業界のリーダーらに直接手渡した。
彼は「米国政府は保有するビットコインを絶対に売却してはならない」と述べ、「2045年には戦略的ビットコイン準備が年間10兆ドル(約1,470兆7,485億円)以上の収益を生み出し、これが米国経済に持続的な繁栄をもたらすだろう」と主張した。
さらに、2045年までにこの戦略的ビットコイン準備が米国財務省に16兆〜81兆ドル(約2,353兆1,976万円〜1京1,913兆632億円)を創出する可能性があり、これが国家負債の軽減にも寄与すると付け加えた。
トランプ大統領、ビットコイン戦略準備創設の大統領令に署名
トランプ大統領は同日、「戦略的ビットコイン準備」と「デジタル資産備蓄(Digital Asset Stockpile)」を構築する大統領令に署名した。
この計画の初期資金は政府が犯罪事件で押収した暗号資産を活用して確保される。ただし、今回の大統領令には追加のビットコイン購入計画は含まれていない。代わりに、米財務省と商務省が税負担なしでビットコインを確保できる方法を策定する予定だ。
ビットコイン25%確保?既存の提案よりもはるかに積極的な戦略
仮に米国政府が全ビットコインの25%を保有することになれば、525万BTCを保有することになる。これは既存の提案のどれよりもはるかに大胆な規模だ。
ワイオミング州選出のシンシア・ルミス上院議員は、昨年7月に提案した「ビットコイン法(Bitcoin Act)」で、米国政府が全供給量の5%、約100万BTCを保有すべきだと提案していた。
コインテレグラフなどによると、ビットコイン25%を確保するというセイラー氏の提案に対して懐疑的な見方も少なくないという。
これまで米国政府はビットコインを戦略的資産として公式に認めたことはない。また、525万BTCを購入するには現在の相場で最低50兆ドル(約7,352兆359億円)以上の資金が必要となる。
加えて、ビットコインの総供給量が2,100万個に制限されているため、市場でこれほど大量のビットコインを確保することが現実的に可能かどうかについても疑問が呈されている。
米国が実際にセイラー氏の提案を受け入れるかは不透明だが、すでに複数の国がビットコインを保有していることを考慮すると、今後国家間のビットコイン保有競争が本格化する可能性もある。