
仮想通貨市場が米中関税戦争の本格化に巻き込まれている。ビットコインは8万ドル(約1,175万5,546円)台前半で横ばいを続け、年初来安値に迫っている。XRP(旧リップル)やソラナなども前週比30%近く急落した。マクロ経済要因に敏感な仮想通貨市場において、関税戦争が沈静化するまで価格の不安定性が続くと見られる。
10日、グローバル仮想通貨情報プラットフォーム「コインマーケットキャップ」によると、午前9時時点でのビットコイン価格は8万696ドル(約1,185万7,819円)で、先週比14.6%急落した。ビットコイン以外の仮想通貨を指すアルトコインの下落はさらに急激だった。ソラナとXRPはそれぞれ前週比28.92%、27.26%暴落し、イーサリアムとBNBもそれぞれ19.80%、11.34%下落した。
中国は10日(現地時間)の0時から、米国産農畜産物に対する報復関税の課税を開始した。アメリカが4日からすべての中国製輸入品に20%の関税を課したことに対抗する措置であり、トランプ政権1期目の米中貿易戦争の記憶を呼び起こし、仮想通貨市場の投資家心理を冷え込ませた。
ドナルド・トランプ米大統領は、先に「仮想通貨戦略備蓄」や「仮想通貨サミット」などを通じて国家レベルでの仮想通貨活性化策を打ち出したが、関税戦争によって引き起こされた投資家の不安心理を鎮めることはできなかった。「仮想通貨戦略備蓄策」については、犯罪者から押収した仮想通貨などを保有する形で進められるだけで、政府が直接購入するものではないとの発表により、市場の期待感が冷めてしまった。
9日にホワイトハウスでトランプ大統領が主催した初の仮想通貨サミットには、XRPのCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏や仮想通貨取引所コインベースのCEOブライアン・アームストロング氏が参加し、期待を集めたが、市場は戦略備蓄の対象となる仮想通貨について具体的な議論がなされなかったと判断した。
これにより、仮想通貨に対する投資家心理は急速に萎縮している。グローバル仮想通貨市場の投資心理を示すコインマーケットキャップの恐怖・強欲指数は10日に「極度の恐怖(17)」の状態に陥った。恐怖・強欲指数は0〜100の範囲で仮想通貨市場の過熱度を判断する。
0に近いほど仮想通貨の価格下落と投資家の不安心理が伴う「恐怖」状態を示し、市場が過熱するほど数値が大きくなり「強欲」状態に近づく。コインマーケットキャップの恐怖・強欲指数が極度の恐怖を示したのは約1年ぶりだ。
韓国市場でも取引件数も急落している。
アップビットの仮想通貨ウォン市場の総取引高は9日時点で前取引日比53.75%減の2兆ウォン(約2,017億2,881万円)を記録した。トランプ政権2期目の発足を前に「仮想通貨ブーム」が最盛期だった1月20日の取引高10兆ウォン(約1兆84億円)と比較すると80%減少した数値だ。
マクロ経済要因に敏感な仮想通貨の特性を考慮すると、関税戦争の拡大懸念が高まる中、市場の不安定性は当面続くと予想される。