暗号資産(仮想通貨・コイン)の主要銘柄であるビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の価格が大幅に下落した。
専門家の分析によると、ドナルド・トランプ米大統領による戦略的ビットコイン備蓄に関する大統領令を発表した後、市場はこれを消化する過程で混乱が起きたという。
さらに、米国の新たな貿易関税政策も重なり、投資家心理が冷え込んでいるとされる。

実際、10日午後3時(日本時間)時点で、ビットコインは4.42%下落し8万2,116ドル(約1,207万4,761円)、イーサリアムは5.31%下落し2,060ドル(約30万2,913円)で取引されていた。
トランプ大統領は7日、大統領令を通じて米政府のビットコイン備蓄戦略を公式に打ち出した。
しかし、市場はこの措置が即座にビットコイン価格の上昇につながるとは判断しなかった。
シンガポールのデジタル資産取引企業QCPキャピタルは、「今回の措置に対する市場の即時の否定的反応は、政府が短期的にビットコインを直接購入する予算を割り当てていないことに起因している」と分析した。
ビットコインは大統領令の発表直後、一時的な反発を見せた。
特に7日初めには9万2,000ドル(約1,352万8,156円)を突破し強気相場を示したが、その後利益確定の売りが殺到し急落した。5.7%下落して8万7,200ドル(約1,282万2,339円)まで押し戻された。その後多少の反発を見せたものの、全体的な下落傾向から脱却することはできなかった。
トランプ大統領の大統領令には、ビットコインを独立した戦略的保有資産として指定する内容が含まれている。
既存のデジタル資産備蓄計画とは別に、米政府がビットコインを中心としたデジタル準備金を運用する意図が示されている。
しかし、イーサリアムなど他の主要仮想通貨は含まれていない。
この点について、ホワイトハウスの高官は、ディクリプトとのインタビューで「ビットコインは特別な資産だ」と強調した。
さらに「ビットコインは最も安全で、最も分散化された暗号通貨であり、発行主体が存在しない」とし、「したがって、他の仮想資産とは差別化された地位を与える必要がある」と述べた。
業界専門家らは、今回の大統領令が長期的にビットコインの制度化を加速させる可能性があると評価している。
ファルコンX(FalconX)のリサーチ責任者デイビッド・ラワント氏は、「今回の大統領令は主権国家レベルでビットコインを備蓄しようとする初めての本格的な動きであり、今後他国の類似政策導入を促す可能性がある」との見通しを示した。
しかし、短期的には貿易摩擦と相まって市場の不安が続く可能性が高い。
トランプ大統領は最近、中国を含む主要貿易相手国に対する新たな関税導入を発表した。これにより、世界金融市場全体でリスク資産回避の動きが広がっている。
ビットコイン政策と貿易摩擦が同時に影響し、トレーダーは当面慎重な姿勢を維持すると見られる。
業界関係者は、「ビットコイン価格が再び上昇するには、米政府のさらなる政策明確化が必要であり、今後議会が長期的なビットコイン保有戦略を法制化するかどうかが鍵となる」と指摘した。
11日(現地時間)には、米上院議員シンシア・ルミス氏とビットコイン政策研究所が共同で主催する「ビットコイン・フォー・アメリカ」イベントが開催される。この場でビットコインの制度化に関する議論が深まると見られている。
暗号資産市場は依然として政策の不確実性の中で方向性を模索している。トランプ政権のデジタル資産政策が中長期的にどのような影響を及ぼすか、そして議会がそれをどのように支援するかによって、今後のビットコイン市場の動向が左右されるとの見方が強まっている。