中国の大口投資家ら、マスク氏の企業に密かに巨額投資

イーロン・マスク氏に対する反感が高まり、テスラをはじめとする彼の企業が「オーナーリスク」に直面する中、中国資本はむしろマスク氏の企業への投資を拡大しているとの報道が出た。
9日、イギリス「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は「裕福な中国の投資家らが、公衆の目に触れないようマスク氏が所有する非公開企業に数千万ドル(数十億円)を投資している」と報じた。
FTによると、「この資金は、マスク氏のベンチャー企業であるxAI、ニューラリンク、スペースXに流れ込んでいる」という。xAIは人工知能、ニューラリンクは脳神経科学、スペースXは宇宙航空を専門とする。それぞれマスク氏が2023年、2016年、2002年に設立した非上場スタートアップだ。
投資された中国資本の正確な規模は不明だが、中国の支援を受ける資産運用会社は「過去2年間で中国の投資家にスペースX、xAI、ニューラリンクの株式を3,000万ドル(約44億4,451万円)以上売却した」とFTに明かした。
投資はアメリカ当局の監視を回避するため、特別目的事業体(SPV)を通じて行われているという。SPVは、特定の事業・投資のために設立され、目的達成後に解散するペーパーカンパニーだ。投資損失はこの組織に限定され親会社には波及しないが、実際の投資家の身元が不明なため、不透明な側面もある。
中国と対立しているアメリカのトランプ政権の実力者であるマスク氏が、中国資本から数千万ドルの投資を受けることは不適切だとの指摘が出ている。マスク氏がアメリカの政策に深く関与しているため、利益相反の可能性があるためだ。
反中感情を露骨に示すトランプ大統領とは異なり、マスク氏は中国市場に注力し、中国との友好的関係を維持してきた。中国はテスラの世界売上高の4分の1を占め、上海には大規模なテスラ工場がある。米共和党の政策研究機関であるアメリカン・エンタープライズ研究所のデレク・シザーズ氏はFTに「マスク氏がアメリカの利益よりも、中国での個人の評判やブランドにより関心を持っていることを示す現象だ」と語った。