米国の「Meta(メタ)」が自社のプラットフォームに掲載される虚偽情報を監視する新機能を発表した。この機能はマーク・ザッカーバーグCEOの「宿敵」であるテスラのイーロン・マスクCEOが率いるX(旧Twitter)の技術を基にしたものだ。マスクCEOが現在の政権で実力者として台頭する中、その技術を利用し、ドナルド・トランプ米大統領の機嫌を取る狙いがあるとみられている。
13日(現地時間)、メタはフェイスブック、インスタグラム、スレッズなど自社プラットフォームに掲載されたコンテンツの虚偽情報を判別する機能「コミュニティノート」を18日から試験導入すると発表した。
コミュニティノートはメタの関係者ではなく、SNSユーザーがコンテンツの真偽について意見を投稿する仕組みだ。掲載されたコンテンツが虚偽だと思われる場合、500字以内で自らの主張を裏付けるリンクと共に意見を投稿できる。メタは「これまで米国で約20万人がコミュニティノートへの参加を申し込んだ」とし、「参加者を徐々に増やし、将来的には無作為に受け入れる方針だ」と述べた。

このコミュニティノートはXが開発し、使用している機能だ。マスクCEOは2022年にX(旧Twitter)を買収後、SNS業界で初めてこの機能を導入した。プラットフォーム企業がコンテンツの真偽判定に介入することを最小限に抑える狙いがあった。
しかし、一部では、この機能がAI時代にますます巧妙化するフェイクニュースへの対策として不十分だとの批判も出ている。実際、米デジタルヘイト対策センター(CCDH)によると、Xのコミュニティノート・システムは昨年の米大統領選期間中、マスクCEOが投稿した虚偽情報に対して一度もファクトチェックのラベルを付けなかったという。
当初、メタはXとは異なり、世界中のファクトチェック機関と契約し、虚偽の主張をフィルタリングする独自システム「ファクトチェック」を運用していた。プラットフォーム企業であるメタの影響力が働く構造だったため、トランプ大統領と米保守派は「左寄りの」メタが恣意的にコンテンツを検閲していると批判してきた。この対立は2021年1月に起きた米連邦議会議事堂襲撃事件直後、メタが「過激行動を助長する恐れがある」としてトランプ大統領のフェイスブックアカウントを2年間停止したことにより、さらに激化した。
そのため、テック業界ではメタがファクトチェックをコミュニティノートに置き換えるのは、トランプ大統領の機嫌を取るための措置だと見られている。大統領選後、トランプ大統領との関係修復に全力を注ぐザッカーバーグCEOは、昨年1月に「表現の自由に関する我々の原則に立ち返る時だ」としてファクトチェック機能の廃止を発表した。トランプ大統領はこの発言に対し「正直なところ、メタとフェイスブックは大きな進歩を遂げた」と評価した。
Xの機能をそのまま導入したことも、トランプ大統領の顔色を窺う意図があると見られる。メタはこの日、「Xのアルゴリズムがオープンソースであるおかげで、我々はXの取り組みを基に自社のシステムを改善することができた」と述べ、Xを称賛した。ザッカーバーグCEOはマスクCEOがXを買収した直後に「Twitterの対抗馬」としてスレッズを立ち上げた。昨年SNS上で繰り広げられた両者のオンライン論争は「格闘技で対決しよう」という発言にまで発展した。