
先月末、59歳のA氏は愛車とも言える黒いモデル3のテスラ車の写真をSNSに中古車として出品することにした。テスラの共同創業者兼CEOであるイーロン・マスク氏への失望感がその理由だった。
売りに出すのは簡単ではなかった。3万5,000ドル(約520万3,780円)で売り出したが、コメントが付くだけで買い手は現れなかった。
ロサンゼルス・タイムズは13日(現地時間)、A氏のようにテスラ車のオーナーたちがマスク氏への失望感を車両販売など様々な方法で表現していると報じた。
かつて気候変動対策の擁護者だったマスク氏は、現在トランプ政権下で環境保護政策の後退を推進し、政府効率化省(DOGE)の責任者として連邦政府の再編に先頭に立つなど、米国だけでなく欧州でも批判を浴びている。
A氏は「政治的理由で車を買ったり借りたりしたことはなかったが、政治的理由で手放したいと思うようになった。マスクの行動は衝撃的で恐ろしい」と語った。
テスラ車を売却する以外にも、自身の車にメッセージを掲げてマスク氏への不満を表明する例もある。
75歳のB氏は、環境汚染を引き起こすガソリン車を道路から排除するため、5年前にテスラ車を購入した。
彼は「テスラ車の使用は、気候変動を食い止めるために私にできる小さな行動だった。イーロンがいなければ、道路に電気自動車は存在しなかっただろう。今や彼は電気自動車に背を向けているようで、裏切られたように感じる」と説明した。
不満を表現するため、B氏は「イーロンが正気を失ったと知る前に購入した(I bought this before we knew Elon was crazy)」というステッカーを車の後部に貼ることを選んだ。オンラインショップには、B氏が貼ったものと同様のステッカーが様々な種類で販売されている。
業界専門家らは、マスク氏の政治活動に対する人々の反発がテスラの株価急落や車両の再販価値低下につながる可能性があると指摘している。
テスラの株価は先月26%下落し、昨年の車両販売が初めて減少に転じたとの報告が今年1月に出た。
B氏も「約9万ドル(約1,338万1,149円)で購入した車の現在の価値は1万3,000ドル(約193万2,832円)にまで下落した」と述べた。
金融サービス会社ウェドブッシュ(Wedbush Securities)のアナリスト、ダン・アイブス氏は「マスクはテスラのCEOとしての役割とDOGEの長責任者としての役割のバランスを取る必要がある」と指摘した。