暗号資産(仮想通貨)ビットコインがインフレをヘッジする資産であるという主張は長年続いてきた。

特に、21万個に固定された供給量と中央銀行の管理から外れた分散型の特性により、金(ゴールド)と並ぶ安全資産として評価されてきた。
しかし、この主張はすべての経済圏で同様に適用されるのだろうか。
16日、コインテレグラフなどによると、アナリストらはビットコインのインフレヘッジ効果が先進国と新興国で異なる可能性を指摘していると報じた。
ビットコイン、金に並ぶデジタル安全資産となるか
ビットコイン支持者らは、BTCの希少性が既存の法定通貨より優れた価値保存手段だと主張している。中央銀行が必要に応じて発行できる法定通貨と異なり、ビットコインはアルゴリズムにより供給量が制限されているため、インフレを抑制する役割を果たせるという。
この論理に基づき、一部の国や企業はビットコインを資産として保有し、インフレリスクの軽減を図っている。代表例がエルサルバドルだ。
エルサルバドルは2021年、世界初のビットコイン法定通貨化を実施し、世界的な注目を集めた。政府は継続的にビットコインを購入し、経済戦略の重要な柱としていると説明している。
企業もこの流れに追随している。アメリカのマイクロストラテジーや日本のメタプラネットなどの企業は、大規模なビットコイン購入を通じて法定通貨に対する購買力の維持を図っていると語っている。
アメリカでも最近、戦略的ビットコイン備蓄(Strategic Bitcoin Reserve)の議論が盛り上がっている。
ビットコイン投資、実際の効果は
これまでのところ、ビットコイン投資戦略はかなりの成功を収めている。ビットコインは2020年代初頭からS&P500や金先物を上回る収益率を示してきた。
しかし、最近この強気相場にやや陰りが見え始めているのも事実である。
ビットコインは過去12ヶ月間で依然として強い上昇傾向を見せているものの、経済学者らは過去の実績が将来の保証にはならないと警告している。
一部の研究では、仮想通貨の収益率とインフレ期待値の間に一貫した相関関係が見られないことが指摘されている。
例えば、2022年にアメリカのインフレ率が40年ぶりの高水準を記録した際、ビットコインは60%以上急落した。一方、伝統的な安全資産である金は比較的安定した動きを維持した。
このため、一部のアナリストはビットコイン価格がインフレよりも投資家心理や市場流動性に影響されやすいと指摘している。
つまり、投資家のリスク選好度が高い時期にはビットコインが上昇し、市場が不安定な時期には株式と共に下落する傾向があるということだ。
では、ビットコインは本当にインフレをヘッジする資産なのか。この問いへの答えは、地域によって異なる可能性がある。
アルゼンチンとトルコの事例
アルゼンチンやトルコのように極度のインフレと厳しい資本規制がある国では、ビットコインが実質的な資産防衛手段となっている。
アルゼンチンは数十年にわたり繰り返し金融危機とハイパーインフレを経験してきた。近年インフレは改善傾向にあるものの、過去の経験から多くの国民が法定通貨よりも暗号資産を選ぶようになっている。コインベースの調査によると、アルゼンチン国民の87%が暗号資産は金融の自立性を高めると考えているとのことだ。
トルコリラ(TRY)の購買力は2021年から2023年にかけて60%以上も低下した。最高85.5%に達したインフレの影響で、多くのトルコ国民がビットコインを価値保存手段として活用している。トルコの暗号資産取引量はGDPの4.3%を占めるほど活発になっている。トルコ政府は2021年から暗号資産の決済利用を禁止しているが、それでも多くの国民がビットコインを法定通貨より信頼していると言われている。
ビットコインは本当にインフレヘッジ資産か
専門家によれば、ビットコインのインフレヘッジ効果は各国の経済環境により大きく異なるという。先進国ではビットコインが伝統的な安全資産(金、不動産)とは異なり、株式市場と連動する傾向がある。一方、新興国ではビットコインが通貨価値の下落を防ぐ実質的な代替手段として機能しているという。