ディープマインド（DeepMind）最高経営責任者（CEO）兼共同創業者であり、2023年のノーベル化学賞受賞者のデミス・ハサビス氏は、人工知能（AI）が今後5年から10年以内に人間の知能レベルに達する可能性があるとの見解を示した。
ハサビス氏は17日（現地時間）、ロンドンでの記者会見で、AI技術がこの期間に進展し、汎用人工知能（AGI）に到達する可能性があると述べた。AGIについては「人間が持つ複雑な能力をすべて備えたシステム」と定義し、現状のAIはこの水準には達していないと指摘した。
また、「現在のAIは特定分野で高い性能を示す一方、依然として多くの課題を抱えている」と分析し、AGIの実現にはさらなる研究と技術的進展が求められると強調した。
ハサビス氏の予測は、他のテック業界大手の見解とは異なる。テスラCEOのイーロン・マスク氏は「2026年までに可能」と楽観的な見方を示し、アンソロピックCEOのダリオ・アモディ氏は「今後3年以内に人間を超えるAIが登場する」と主張している。オープンAIのサム・アルトマン氏も「AGIは比較的近い将来に開発される」との見通しを示している。一方、バイドゥCEOのリー・ヤンホン氏は「AGI到達には10年以上かかる」と慎重な姿勢を示している。
一方、人間の知能を超える「人工超知能（ASI）」の到来時期については、「AGIの後に登場する可能性が高いが、具体的な時期は予測不可能」と語った。シスコ最高製品責任者（CPO）のジトゥ・パテル氏は「今年中にAGIの実用的な証拠が見られるだろう」と述べ、「超知能は早くても数年後」との見解を示した。
AI囲碁ソフト「アルファ碁」の開発者としても知られるハサビス氏は、AIが人間レベルに達する上での最大の障壁として、現実世界の文脈理解の難しさを挙げた。「AIが計画と推論を迅速に一般化し、実世界で機能させることが鍵だ」と指摘し、「複数のAIエージェント間の相互作用がAGI発展に不可欠だ」と語った。