暗号資産(仮想通貨)EOSの価格が、Vaultaへのリブランディング発表後に32%急騰した。しかし、市場の変動性や詐欺リスクの増加により、この上昇傾向が続くかどうかについて懸念が高まっている。

19日(日本時間)、EOSブロックチェーンネットワークはVaultaへのリブランディングを発表し、Web3バンキングへの戦略的転換を正式に表明した。
EOSは当初、イーサリアム(ETH)キラーとして注目を集めたが、規制やガバナンスの問題、ネットワークの混雑などにより競争力を失っていた。今回のリブランディングはこれらの課題を解決し、新たなエコシステムを構築するための戦略的施策と評価されている。
EOSのリブランディングは5月に予定されており、既存のEOSトークン保有者は1:1の比率でVaultaトークンに交換できる。リブランディング発表直後、EOSの価格は0.49ドル(約73円)から0.65ドル(約97円)に急騰した。しかし、依然として史上最高値(ATH)から97%下落した状態であり、長期的な下落傾向から脱却できていない。
この価格上昇にもかかわらず、EOS保有者はアドレスポイズニング詐欺という新たな脅威に直面している。セキュリティ企業のSlowMistは、詐欺師が0.001 EOSをユーザーに送信した後、正規の取引所アドレスに似た偽アドレスを使用して投資家を欺く手口について警告を発した。この手法により、被害者が誤ったアドレスをコピーして送金するよう誘導されている。
このような暗号資産詐欺は投資家の信頼を損ない、価格下落を引き起こす可能性がある。EOSだけでなく、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、他の主要な暗号資産でも類似の詐欺事例が報告されている。
EOSの価格上昇が持続するかどうかについても疑問が投げかけられている。19日午後8時50分時点でEOSの価格は0.57ドル(約85円)に下落し、時価総額は9億360万ドル(約1,343億8,732万円)程度となっている。価格が0.65ドルまで上昇した後、10%下落しており、市場での売り圧力が増加する中、さらなる下落の可能性も指摘されている。
米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジェローム・パウエル氏の発言もEOSの価格に影響を与えている。彼の発言がデジタル資産の変動性を拡大させる中、EOSの上昇傾向が脅かされている。EOSの価格ラリーが持続するには、強い買い圧力と市場全体の回復が不可欠だ。
コインゲイプなどによると、EOSのVaultaへの移行は短期的に投資家の関心を集めたものの、長期的な市場信頼回復という課題が残されている。詐欺の脅威と継続的な下落傾向を克服するには追加戦略が必要であり、取引所や投資家の反応が今後の価格動向を左右すると見られている。