
米連邦準備制度理事会(FRB)の3月連邦公開市場委員会(FOMC)が開催された19日(現地時間)、ウォール街ではFRBのジェローム・パウエル議長の発言の核心メッセージをめぐって見解が分かれた。株式市場は関税のインフレへの影響が一時的である可能性を示唆したパウエル議長の発言に注目し、一斉に上昇した。しかし一部では、関税の不確実性を引き続き強調した点に重きを置いている。
パウエル議長はこの日のFOMC後の記者会見で、「政策金利の経路が変わっていないのは、インフレが一時的だと見ているということか」との質問に対し、「現在のインフレの一部は明らかに関税に起因している」としつつ、「インフレが短期間続いた後に自然に低下する場合、政策的介入なしでも様子を見ることができる」と答えた。これは、インフレが一時的である可能性があるため、直ちに金融政策を変更する必要はないという意味だ。
これを受けてニューヨーク株式市場は一斉に上昇した。ダウ工業株30種平均は前日比383.32ポイント(0.92%)高の4万1,964.63で取引を終えた。S&P500指数は前日比60.63ポイント(1.08%)高の5,675.29ポイント、ハイテク株中心のナスダック総合指数は前日比246.67ポイント(1.41%)高の1万7,750.79ポイントでそれぞれ終了した。特に今回の株式市場の反発は、FOMC会合日基準で7月以来最大の上昇幅を記録した。
ニューヨーク株式市場は、FRBが2025年の経済成長率予測を下方修正し、インフレ予測を上方修正したにもかかわらず上昇した。これについてブラックロックは「ほとんどの悪材料はすでに株価に織り込まれていた」とし、「ここ数週間、株式市場は大幅な調整を経験しており、多くのエコノミストも成長鈍化とインフレ上昇を予想していた。そのため今回の反発が見られた」と分析した。
しかし一部では警戒を緩めるべきではないとの意見も出ている。トレーディングプラットフォームであるイートロのブレット・ケンウェル氏はCNBCに対し、「多くの市場参加者が今回のFRB声明の『一時的』という表現に注目しているが、今日のキーワードは『不確実性(Uncertainty)』かもしれない」と述べた。同氏は「FRBが今年のインフレ予測を3か月前より高く見積もりながら、なぜ2025年に金利を2回引き下げる計画なのか疑問を呈する投資家もいるだろう」と分析した。これは、FRBが景気減速にさらに備えている可能性があるとの解釈だ。