
フランスとベルギーの一部地域では、食品廃棄物問題の解決策として住民に無料で鶏を配布している。
19日(現地時間)、英国BBCは、フランス北東部のコルマール(Colmar)市が2015年から食品廃棄物削減を目的に住民へ鶏を提供する政策を実施していると報道した。
この政策は、コルマール市の元市長ジルベール・マイエ氏が2014年に「一家庭一雌鶏」を公約として掲げ、翌年に導入したものだ。近隣の養鶏場と協力し、200世帯以上に鶏2羽ずつを提供する形で始まった。参加世帯は一定の飼育スペースを確保し、廃棄物部門による動物福祉チェックに同意する必要がある。
政策の成功を受け、2022年からはコルマール全20自治体が参加した。これまでに計5,282羽の鶏が住民の元に届けられた。
コルマール市のエリック・ストローマン市長は「鶏1羽が1日150gの食品廃棄物を消費する。2015年以降、合計273トンの廃棄物削減効果があった」と述べた。
食品廃棄物は大量のメタンガスを排出し、これは20年間で二酸化炭素の80倍もの温室効果をもたらす。
ベルギーでも、ムスクロン(Mouscron)、アントウェルペン(Antwerp)、リンブルフ(Limburg)などの都市で市民に鶏を提供し、最低2年間は屠殺しないという誓約を受けている。リンブルフでは2,500世帯以上が雌鶏を引き取り、政策の成功を受けてムスクロンでも50世帯に鶏が渡された。
コルマールでは予想外の好影響も現れた。住民が鶏の世話を共同で行うことでコミュニティの絆が強まり、子供たちは動物と環境保護について学ぶ機会を得たという。
この政策には経済的利点もある。最近、米国では鳥インフルエンザなどの影響で卵価格が高騰し、卵12個あたり9ドル(約1,349円)にまで上昇している。一方、鶏1羽が年間最大300個の卵を産むことができるため、大幅なコスト削減につながる。
ただし専門家は、鳥インフルエンザのリスクや飼育条件の問題を指摘し、各国の実情を考慮する必要があると助言している。イェール大学の食品プログラム責任者のマーク・ボンフォード氏は「このアイデアは米国では通用しないだろう」と述べた。