
中国の国営メディアは、アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の間で議論されている米露関係回復の「実質的意味」が「象徴的意味」に比べて大きくないとの見方を示した。
中国中央テレビ(CCTV)が運営するSNSアカウント「玉淵譚天」は19日午後の投稿で、当日行われた米露首脳電話会談について「米露関係はあたかも回復の兆しがあるように見えるが、実際に米露の相互作用の歴史を振り返ると、このような状況は決して珍しくない」と指摘した。玉淵譚天は、バラク・オバマ元大統領時代の2009年に、米露外相が両国関係の「リセット」を発表した後、2012年と2016年にも関係再開に言及があったとし、「米露関係は常に『リセット』という言葉を好んで使用してきた」と述べ、「いわゆるリセットや回復は、象徴的意義が実際の意義をはるかに上回る」と分析した。
オバマ政権はしばらくの間、米露関係リセット政策を推進したが、ロシアの民主化と人権運動を支持する措置を続けたため両国関係は悪化した。2014年にロシアがウクライナ領クリミア半島を併合した事態を受け、米国と西側諸国がロシアに強力な制裁を課したことで両国関係はさらに悪化した。
玉淵譚天は、今回の米露首脳電話会談の意義も限定的だとした。当初、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、この日午後4時から6時(モスクワ時間、日本時間では午後10時から12時)に電話会談が行われると発表したが、プーチン大統領は午後4時52分まで他の行事に出席しており、同席者が電話会談に遅れると伝えると、プーチン大統領は「彼(ペスコフ報道官)の言葉を聞くな」と言ったと報じられた。
玉淵譚天はまた、米ホワイトハウスが電話会談後の声明で、両首脳がイランはイスラエルを破壊しようとする立場を取るべきではないという見解で一致したと伝えたが、ロシア側の声明ではこのような内容に言及がなかったと指摘した。さらに「両国は中東・紅海情勢についても言及したが、実際には米露はこれらの問題において基本的に共通の利益がなく、意見の相違が共通認識(和解)を上回っている」と強調した。
このメディアは前日、米露首脳電話会談の焦点であったウクライナ戦争の停戦可能性も低いと評価した。玉淵譚天は「エネルギーとインフラへの攻撃はロシアとウクライナ両国の民生に圧力をかけたが、この分野での停戦は主戦場にそれほど大きな影響を与えない。真の意味での停戦までにはまだ道のりが長い」という中国社会科学院のロシア・東欧・中央アジア研究所の研究員、張弘氏の見解を紹介した。
そして「交渉の観点から見ると、ロシアがこの条件に同意したのは善意を示したに近い」とし、「米国が『持続的平和に向けた第一歩』と述べたのも外交的修辞に近い」と主張した。さらに「もし米国が自発的にウクライナへの軍事支援を放棄すれば、米露交渉において米国は基本的に交渉カードを失うことになる」という自国の国際問題専門家、呂祥氏の見解を伝えた。