
米国の入国審査が厳格化し、旅行者の不安が高まっている。入国申請者の携帯電話やSNSアカウントの確認が行われ、拘束や強制送還の事例も増加しているためだ。
20日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やニューヨーク・タイムズ(NYT)などは米国の入国管理当局が移民や観光客に対する審査を強化したと報じた。入国審査官は厳しい質問を投げかけ、ビザの審査も一層厳格に行われている。また、審査過程で拘束される事例も増加している。
あるカナダ人は米国入国を拒否され、移民収容施設に12日間拘束された後に解放された。また、ドイツ人観光客は16日間拘束された後、ようやくドイツに帰国できた。通訳や弁護士の支援も認められなかったという。
さらに、携帯電話やノートパソコンなどの個人電子機器の検査も増えており、SNSアカウントの提出を求められることもあるという。
あるフランス人科学者は携帯電話にトランプ大統領を批判する内容があったことを理由に米国入国を拒否された。
レバノン国籍の米ブラウン大学教授は携帯電話にレバノンの武装組織ヒズボラの元指導者ハサン・ナスラッラーの写真があったため、空港で強制送還される事態も発生した。
一部ではこのような電子機器の捜索が旅行者のプライバシー侵害ではないかという指摘があるが、米政府は法的権限に基づく正当な職務遂行だとの立場を示している。
米国土安全保障省傘下の税関・国境警備局(CBP)は「テロや犯罪活動を特定し対処するために電子機器の捜索が必要」とし、「国境を越える電子機器を合法的に検査する権限はデジタル化が進む現代の世界で米国の安全を守るために不可欠だ」と強調している。
これらの措置に対し、各国政府は自国民に注意を呼びかけている。在米大韓民国大使館は14日、ウェブサイトで「最近の米政府による不法移民取り締まり強化により、韓国国民が予期せぬ不利益を被ることのないよう注意してほしい」と呼びかけた。
英国外務省はウェブサイトに「米当局は入国に関する規則を厳格に定め、施行している。規則に違反した場合、逮捕または拘束される可能性がある」との注意喚起を掲載した。
ドイツはビザ免除や入国許可を得ていても米国入国が保証されるわけではない点を強調し、米国旅行に関する注意喚起を更新した。