
北朝鮮当局が餓死の危機に瀕した家庭を調査し、緊急食糧支援を実施したところ、これに感動した両江道(リャンガンどう)の一部の女性同盟員が涙を流したと21日に明らかになった。
自由アジア放送(RFA)は、16日に身の安全のため匿名を希望した両江道の住民の話として、「食糧事情は例年並みだが、差し迫った餓死の危機に直面している家庭があった」とし、「中央でも危機に陥った家庭を調査し、緊急の食糧支援に乗り出した」と伝えた。
同筋は「今回のように中央が絶食世帯を調査し、緊急食糧支援に乗り出したのは極めて異例のことだ」と付け加えた。
複数の両江道住民も、北朝鮮の一部の家庭が食糧を購入する資金がなく餓死の危機に陥っている中、これを把握した北朝鮮当局が最近、餓死寸前の家庭に2週間分の食糧を緊急支援したと証言した。
情報筋は「我々の人民班だけでも食糧がなく今にも死にそうな家庭が2、3世帯あった」とし、「ある家庭は母親と暮らす40代前半の未亡人で、もう一つは60代半ばの老夫婦で、子供たちからの援助を全く受けていなかった」と述べた。
また、「間もなく飢え死にすると予想されていた彼らは、国家の支援でかろうじて命をつないでいる」とし、「中央の指示で3月12日、市人民委員会の糧政課がこれらの家庭に1人当たり7kgずつ2週間分の食糧を特別に供給した」と説明した。
情報筋は「恵山市松峯洞(ヘサンし・ソンボンドン)で15日に開かれた女性同盟員の会議では、2週間分の救済食糧を受け取った母娘が登壇した」とし、「彼女たちは金正恩総書記の食糧救済措置に感謝し、涙を流した」と伝えた。
同筋は「会議で女性同盟員が涙を流したという知らせは瞬く間に恵山市全域に広まり、若者たちは驚きを隠せなかった」とし、「悲しいことに年配者の中には、今でも『将軍様は常に人民のために献身される』という宣伝をそのまま信じている人がかなりいる」と述べた。
情報筋は「最近、餓死の危機に陥った家庭が出てきた背景には、昨年1月に実施された労働者の基本給引き上げ措置がある」とし、「労働者の基本給が2,500北朝鮮ウォン(当時のレートで約0.27ドル/約40円)から3万北朝鮮ウォン(当時のレートで約3.33ドル/約501円)に上がった後、食糧を含むすべての生活必需品の価格もほぼ同程度上昇した」と説明した。
情報筋は続けて「恵山市の場合、貧困家庭は小規模な畑作に頼ってかろうじて命をつないでいたが、昨年の森林緑化と地方工業工場の原料基地創設を口実に、そうした畑まで全て回収された」と付け加えた。
北朝鮮の軽労働職場などでは、病気で十分に働けない人々が就労しており、元々月給が低い上に、現在は生産ができず月給が全くない状況だという。北朝鮮の多くの生産企業は現在、原料や資材不足で工場を稼働できないため、労働者に給与を支払えない状況にあると伝えられている。