
日本政府が優秀な博士課程の人材に提供する生活費・研究費支援金の受給者の30%が中国国籍の留学生であることが判明した。政界の一部では、中国人の受給割合が過度に高いことを問題視し、経済安全保障の観点から制度改革を求める声が上がっている。
読売新聞と産経新聞の25日付の報道によると、文部科学省の関係者は前日の参議院外交防衛委員会で、博士課程学生向け国家支援制度の2024年度受給者のうち30%が中国国籍の留学生だったことを明らかにした。
文部科学省傘下の科学技術振興機構は、2021年から「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」を実施している。この制度は専門人材の育成を目的とし、全国の博士後期課程学生1人当たり年間最大290万円を最長3年間(4年制の場合は4年間)支給する。国籍や年齢の制限はなく、返済義務もない。
昨年の受給者総数は1万564人で、そのうち留学生は40%に当たる4,125人、国籍別では中国が最多の2,904人だった。日本人の受給者は、60%(6,439人)だった。国内メディアによると、SPRINGの受給者内訳が公開されたのは今回が初めてだという。
この問題について質問した自民党の有村治子議員は「経済安全保障の観点から過度な留学生依存は避けるべきだ」と指摘し、「日本人学生を支援する原則を明確に打ち出さなければ、国民の理解は得られない」と強調した。
有村議員によると、東京大学や京都大学など博士課程の在籍者や修了者が多い大学では、中国人留学生の割合が年々増加しているという。東京大学の中国人留学生数は、2008年の727人から2014年に1,136人、2024年には3,396人へと急増し、16年間で4.7倍も増加した。
留学生全体の中での中国人の割合も、2009年の30%から2024年には61%と倍増した。京都大学でも中国人留学生数は、2008年の528人から2024年には1,674人に増加し、留学生全体に占める中国人の割合は、2009年の40%から2024年には57%に上昇した。
こうした状況について文部科学省は「日本だけでなく世界各国で留学生数が大幅に増加している」と説明しつつ、「今後は様々な国や地域から優秀な人材を戦略的に受け入れていく」と述べ、中国以外の国からの留学生比率を高める方針を示唆した。
有村議員は、カナダの国公立大学では留学生の学費が自国学生の5.5倍、米国では2.9倍であることを挙げ、「日本も自国の学生を重視し、外国人留学生に応分の負担を求める学費設定を積極的に実施すべきだ」と主張した。