
産業の基本素材である銅が、今年史上最高の価格を更新し、1トンあたり1万2,000ドル(約180万2,349円)を超えると予測されている。
世界的な需要の増加とドナルド・トランプ大統領の関税政策が、銅価格上昇の主な要因となっている。
「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は25日(現地時間)、スイス・ローザンヌで開催されたFT商品サミットで、世界最大の商業取引業者がこのような予測を発表したと報じた。
商品取引業者のマーキュリアやトラフィグラ、ヘッジファンドのフロンティア・コモディティーズなどが、今年、ロンドン金属取引所(LME)の銅価格が急騰するとの見通しで一致した。LMEの銅価格は世界の銅価格の基準となっている。
LME銅価格は昨年5月、1トンあたり1万1,000ドル(約165万3,242円)に迫り、史上最高を記録した後、下落した。しかし、今年は銅価格が再び上昇し、25日には1トンあたり約1万ドル(約150万2,844円)に跳ね上がった。
マーキュリアのグローバル金属部門責任者、コスタス・ビンタス氏は、銅価格が1万2,000ドルを超えるとの予測を示した。ビンタス氏は現在、銅の供給と需要が非常に厳しくなっていると指摘している。
ビンタス氏によれば、これまで価格を左右していた中国の需要とは異なり、現在はアメリカが大量に銅を輸入することで市場の状況が変わっているという。彼は、アメリカが今年、約40万〜50万トンの銅を輸入したと推定している。
アメリカの銅輸入が急増している背景には、主に2つの理由がある。
まずは「トランプ関税」だ。すでに鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課しているトランプ大統領が銅にも関税を課すとの予測から、トレーダーたちが急いでアメリカに銅を移している。
アメリカの銅関税に対する見通しの中で、LMEとニューヨーク商業取引所(NYMEX)の銅価格は次第に乖離しつつある。NYMEX銅価格は、25日にはLME銅価格に比べて1トンあたり1,350ドル(約20万2,884円)高かった。
銅価格の上昇には、アメリカの関税政策だけでなく、「需要の増加」という根本的な背景がある。
アメリカや欧州連合(EU)などの先進国では老朽化した電力網を改善するために、銅が大量に必要とされている。
フロンティアのアリネ・カニゼロパートナーは、電力網の改善には膨大な量の銅が必要であり、そのため銅価格が1トンあたり1万2,000ドルに迫る可能性があると予測した。
銅は電線だけでなく、さまざまな技術や建設、再生可能エネルギーなどにも使用される。
トラフィグラの金属分析責任者、グレイム・トレイン氏は世界経済が「やや脆弱」であり、アメリカが銅に関税を課すかどうかが不確実であることが銅価格の上昇に影響を与える可能性があるとしつつも、基本的には銅価格の上昇は避けられないと述べた。
トレイン氏はアメリカの買い手が引き続き銅を購入し続けるだろうとし、国内供給が絶対的に不足しているためだと説明している。