
米国の16の情報機関を統括する国家情報局(DNI)が、自国にとって最大の脅威として中国を挙げた。DNIは25日(現地時間)、上院情報委員会の公聴会に先立ち公開した「年次脅威評価」の報告書で、中国が通常兵器で米国を攻撃し、サイバー攻撃でインフラを混乱させ、米国の宇宙資産を標的にする能力を有していると指摘した。
またDNIは、中国軍が大規模言語モデルを活用して偽情報を生成し、人物を模倣し、攻撃ネットワークを構築しようとする計画を立てている可能性があると警告した。さらに「中国は2030年までに米国を人工知能(AI)分野で追い抜くため、多面的な国家戦略を推進中」と分析した。 報告書は「中国軍は台湾侵攻と、必要な場合米軍の介入阻止・撃退能力の確保に向け、着実だが不均衡な進展を見せている」と評価した。
この日の公聴会でも情報機関トップらは中国の脅威の増大を警告した。DNIのトゥルシー・ギャバード氏は「中国は最大の戦略的競争相手」と述べ、「中国軍は極超音速兵器、ステルス戦闘機、最新鋭潜水艦、強力な宇宙とサイバー戦の能力、核兵器など、先進的な軍事力を有している」と指摘した。中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官も「中国がフェンタニル危機を悪化させる前駆物質の流入を断続的にしか抑制していない」と批判した。
情報機関はグリーンランドにも中国が狙いを定めているとし、「鉱山開発、インフラ整備、科学研究プロジェクトを通じてグリーンランドへの関与を強めている」と分析した。グリーンランドの天然資源へのアクセス権を拡大し、北極圏での重要な戦略拠点として活用することが中国の最終目標だとしている。
ロシアに関しては、ウクライナとの部分的停戦に同意したものの、ウラジーミル・プーチン大統領には長期戦を覚悟する意志があり、戦争終結後もロシアは米国にとって脅威であり続けると指摘した。「プーチン大統領は勝利のためには、非常に大きな代償を払う覚悟と準備ができている」と警告した。
ギャバード局長は公聴会冒頭の声明で「北朝鮮の金正恩委員長は、国際社会で暗黙の核保有国地位の獲得を目指しており、7回目の核実験準備を整えている可能性がある」と評価した。「金委員長は交渉力と地位を向上させ、核保有国としての認知を得るため、地域の米軍や同盟国はもちろん米本土まで攻撃できる戦略・通常戦力の強化を追求している」と指摘した。
さらに「金委員長は2019年以降、戦略兵器開発やロシアとの関係深化が米国の非核化要求に対する交渉力を高め、制裁緩和の必要性を減じると判断した」と分析した。 そのうえで「北朝鮮は近いうちに新たな核実験を実施する準備ができている可能性がある」とし、「将来の交渉で能力向上をアピールするため、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を継続している」と述べた。 ギャバード局長は北朝鮮がロシアとの緊密な関係を通じて財政・軍事・外交的支援を確保し、中国への依存度を低下させたと指摘し、「北朝鮮軍と兵器システムに実戦経験を提供している」と評価した。
ギャバード局長は「中国、ロシア、イラン、北朝鮮は米国の能力と利益に挑戦する活動に従事している」とし、「彼らは異なる領域で米国の利益を標的にし、米国の制裁から自国を守るため互いに協力している」と指摘した。 さらに「金委員長は自身の権力を脅かすか、核・ミサイル野望を抑制すると判断した場合、武力行使を脅す可能性がある」とし、「核抑止力への自信が高まるにつれ、抑圧的な作戦能力を拡大し、新たな戦術を採用している」と分析した。
加えて、金委員長が韓国との海上境界線を問題視した場合、南北間の衝突が発生する可能性があり、より強力なメッセージを送る必要があると判断すれば挑発を拡大する可能性があると予測した。DNIは北朝鮮政権が直面する課題として「周期的な弾圧は経済活動を制限し生計を脅かす。非効率的な国家統制が食糧不足と社会秩序の崩壊をもたらしている」と評価し、「金委員長は中国への依存度低減に苦心するだろう」と予測した。