
ドナルド・トランプ米大統領が、米国市民権を証明した者のみが連邦選挙に参加できるという内容の大統領令に署名した。ただし、貧困層や低所得層の米国人は市民権を持たない場合が多く、市民の選挙権を剥奪する法案であるとの批判が提起されている。
25日(現地時間)AP通信は、今回の大統領令には米国選挙支援委員会(EAC)の有権者登録様式に市民権証明を要求する内容が含まれたと報道した。また、イーロン・マスク氏が事実上指揮する政府効率化省(DOGE)が国土安全保障省(DHS)の協力を得て、各州の有権者名簿を検討するための出席要求書を受けるか、命令に従わない州は財政が削減される可能性があるとの内容も含まれた。
現地では厳しい批判が提起されている。低所得層の米国人は市民権証明手続きを行う余裕がなく、都市から遠く離れた場所に住む有権者は郵便投票以外の手段を使うことが難しく、被害を受ける可能性が高い。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の法学教授であるリック・ハーセン氏は、数百万人の有権者から投票権を剥奪する「行政的権力の強奪」と非難し、「その目的は純粋に有権者を抑圧しようとするものである」と述べた。
政治専門メディアのポリティコは、「トランプ大統領は郵便投票を含む、自身が不公平だと考える投票慣行を長い間非難してきた」とし、「2020年大統領選挙以降、彼は(郵便投票が)自身に不利な方向に操作されたと主張し、選挙法の改正を要求してきたが、この日の大統領令に明記された内容はその一部である」と伝えた。
続いて政治メディアのアクシオスは、有権者詐欺は極めて稀であるため、今回の大統領令は不法な有権者を捕まえるよりも、遥かに多くの合法的有権者から実質的に投票権を剥奪する結果をもたらす可能性があると指摘した。
一部では、今回の措置が郵便投票比率が高いカリフォルニア州とアラスカ州を直接狙ったものであると解釈されている。トランプ大統領は2020年米大統領選挙で「選挙詐欺」のせいで敗れたと主張してきた。