
ロシア連邦保安局(FSB)近くに駐車されていた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のものと推定される高級リムジンが火災で爆発し、灰燼に帰した。
29日(現地時間)、BAZAなどロシアのテレグラムチャンネルは、モスクワのクレムリン宮殿近くのFSB庁舎前の道路に駐車されていたリムジン「アウルス・セナート」が炎に包まれたと報じた。
エンジンから出火したとみられる火は車内に広がり、炎と煙が立ち上ると、近くのレストラン従業員や通行人が消火器を使用し通報した。消防当局が迅速に現場に駆けつけ火災を鎮火させ、現時点で死傷者は出ていない。
テレグラムチャンネルBAZAは、消息筋の話として、焼損したリムジンがクレムリン宮殿・国有財産管理部の所有で、プーチン大統領の専用車両と推測されると伝えた。ロシア版ロールス・ロイスと呼ばれるアウルス・セナートは、プーチン大統領の「大統領専用車を作れ」との指示で開発され、価格は4,000万~8,000万ルーブル(約7,000万~1億4,000万円)に上る。
プーチン大統領は2018年の4期目就任式で初めてこの車を使用し、以来官用車として利用していた。昨年の5期目就任式でもアウルス・セナートの改良型で移動した。また、昨年2月と6月には、計2台のアウルスを北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に贈呈した。
正確な車両の所有者や出火原因はまだ明らかになっていないが、英紙サンやデイリー・エクスプレスなどは、プーチン大統領を標的とした暗殺未遂の可能性を指摘している。

当該車両がプーチン大統領の所有車である可能性が高く、事故現場がFSB本部前であることから、疑惑が深まっている。独紙ベルリーナー・モルゲンポストは「今回の事故がテロと判明すれば、ロシア国内の治安が大きく揺らぐだろう」と分析した。
一方、先にウクライナがプーチン大統領の暗殺未遂に言及していたことから、今回の火災がウクライナによるテロだったのではないかとの憶測も飛び交っている。
昨年7月、ウクライナのキリーロ・ブダノフ国防部情報総局長は自国メディアのインタビューで「成功には至らなかったが、プーチン大統領の暗殺未遂が複数回あった」と主張した。また、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「プーチン大統領はまもなく死ぬだろう」と発言したことも、暗殺未遂説を裏付ける根拠となっている。