ドナルド・トランプ米大統領は2日(現地時間)、ホワイトハウスのローズガーデンで演説を行い、国家非常事態を宣言したうえで、全世界の国々に対して一律10%の関税を課すと発表した。これを受け、暗号資産(仮想通貨)市場は急落した。
発表直後、仮想通貨市場は一時的に上昇したが、政策の全容が明らかになるとその流れが一変した。

ビットコイン(BTC)は3日(日本時間)午前、一時8万8,500ドル(約1,292万2,263円)まで上昇したが、その後下落し、8万2,000ドル(約1,197万3,170円)台前半まで落ち込んだ。現在(午後3時30分時点)は少し反発し、8万3,200ドル(約1,214万8,388円)台で取引されている。
イーサリアム(ETH)も同日午前、一時6%の下落を記録した。1,934ドル(約28万2,391円)から1,800ドル(約26万2,828円)を割り込んだが、現在は1,820ドル(約26万5,748円)台で取引されている。
市場心理を示す「クリプト恐怖・強欲指数(Crypto Fear & Greed Index)」は、2日(米国時間)時点で25を記録し、「極度の恐怖」段階に分類された。この指数は最近1週間「恐怖」レベルを維持していたが、トランプ大統領の発言後に再び急落した。
株式市場も暗号資産と同様の動きを示した。金融情報プラットフォーム「コベイシ・レター」によると、S&P500指数は1日で約2兆ドル(約292兆313億5,006万円)の時価総額が消失したという。1分あたり約1,250億ドル(約18兆2,519億5,937万円)が失われた計算になる。

「コインテレグラフ」によると、21シェアーズの暗号資産投資専門家デビッド・エルナンデス氏は、今回の政策発表が市場に短期的には衝撃を与えたものの、長期的にはプラスに働く可能性があると評価した。
エルナンデス氏は「関税水準は市場予想を上回ったが、政策の方向性と範囲が明確になったことで投機的な解釈が減り、機関投資家が割安な資産に注目が集まる可能性がある」との見解を示した。
米国財務長官スコット・ベセント氏はこの日、ブルームバーグとのインタビューに応じ、他国は報復関税を控えるべきだと強調した。ベセント氏は「今回の関税は上限に近い水準であり、今後追加の課税がなければ、市場の不確実性が解消される可能性がある」と主張した。
今後の市場の変動は、各国の対応に左右されるとの見方が強い。エルナンデス氏は、日本、中国、韓国など東アジア諸国やメキシコが報復措置を検討する可能性があると予測している。