
オープンAIがチャットGPTに追加した画像生成機能が爆発的な反響を呼び、アニメーションスタジオや著名漫画家の作風を模倣した画像制作が広がっている。実在のキャラクターに酷似した画像も登場し、著作権侵害の議論が激化しているが、オープンAIは「問題ない」との立場を示しており、ジブリ側も特段の対応をせず沈黙を保っている。
「作風の模倣は可能、現役アーティストはブロック」
最近、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでは、時事ニュースや歴史的場面を「ジブリ風」に変換した画像が相次いで投稿されている。
2024年の選挙遊説中に銃撃された直後のドナルド・トランプ米大統領の写真や、過去のインターネットミーム画像をジブリ風に加工した例も多数確認された。これらはすべてスタジオジブリの作品ではなく、チャットGPTの画像生成機能を利用して作成されたものだ。
ユーザーらは、自分や家族の写真をジブリ風に加工して投稿している。オープンAIのサム・アルトマンCEOも自身のプロフィール画像をジブリ風に加工した写真に変更した。チャットGPTに「ジブリ風に変えて」と指示すると、1分以内で画像が生成されるため誰でも簡単に利用できる。
「ワンピース」、「ドラゴンボール」、「ドラえもん」など人気漫画の作風を模倣した画像も多数流通している。
オープンAIは「指示文に特定のアーティスト名が含まれている場合、その作家の美学に近い画像を生成できる」と説明した。ただし、著作権侵害の懸念を考慮し、「現役アーティストの作風での画像生成は拒否するシステムを導入した」と述べた。ジブリ風画像の生成については「宮崎駿監督個人ではなく、スタジオ全体の作風を参考にしているため可能である」というのがオープンAIの立場だ。
これに対し、ジブリ側は「コメントすることはない」とし、現時点で法的対応の動きは見られない。

作風の模倣は著作権の対象外?法的責任はユーザー側か
AIと著作権に詳しい弁護士の池村聡氏は「イラストの学習や作風の模倣は著作権保護の対象ではなく、規制も困難だ」と指摘した。特定のキャラクターに似た画像が生成されたとしても、それがユーザーによってどのように利用されるかが重要であり、オープンAIに法的責任を問うのは難しいとの見方を示した。
ただし、特定のキャラクターだけを繰り返し学習させ、類似画像が頻繁に生成される場合、AI事業者にも一定の責任が生じる可能性がある。
池村氏は「有名な固有名詞を入力した際に、AIが生成リクエストを拒否する、あるいは警告を出す技術的な措置も必要である」とし、「生成された画像の不適切な利用を防ぐため、事業者は社会的責任の観点から機能的な改善を検討すべきだ」と強調した。