
アメリカの制裁を突破し、半導体技術の自立化を進める中国が、人工知能(AI)分野のディープシークのように、半導体分野でも従来とは異なるアプローチで成功を収める可能性があるとの見方が出ている。
台湾の国立清華大学の半導体研究所の林本建所長は3日、中国メディアの「観察者網」とのインタビューで、「中国は投資と発明に非常に熱心に取り組んでおり、おそらくディープシークのように皆を驚かせるような成果が出るだろう」と述べた。
世界最大のファウンドリー企業TSMCの元研究開発(R&D)副社長で「液浸リソグラフィの父」と呼ばれる林所長は「中国に対する圧力は今もなお続いているが、彼らには(発明に取り組む以外に)選択肢がない」とし、中国が半導体を新たに定義し、ディープシークと同様の成功を収める可能性があると予測した。
彼は「中国が必ずしも7nm(10億分の1m)や5nmにこだわる必要はない」とし、従来の方法にとらわれない可能性を示唆した。林所長は「7nmプロセスで同じ機能を実現するために新しい材料や設計を使用できる。従来の先端プロセスに頼らずとも、5nmやそれ以上の技術に莫大な労力やコストをかけることなく、ディープシークのように独自の手法で目標を達成することが可能だ」と説明した。
彼は「5nmから3nm、3nmから2nmへの微細化は可能だが、多大な努力が必要で、コストも大幅に増加する」とし、「言い換えれば、5nm技術ができること、または将来必要になること、新しい材料や新しい構造を使用することを7nm技術で実現できれば、従来必要とされていた微細化の目標を達成できる」と述べた。
林所長は、中国本土が半導体を再定義できるという主張を続けた。
彼は、外部が中国本土にR&Dへの投資を強要し続ければ、将来「半導体産業のディープシーク」が誕生し、TSMCが5nm、2nm、3nmの開発に費やした努力が無駄になる可能性が非常に高いと付け加えた。その場合、「我々は窮地に陥るだろう」とし、「中国本土の価格は低く、市場は巨大だからだ」と説明した。
中国本土のファウンドリー企業の収益性について、フォックスコンの半導体戦略責任者で、TSMCの元共同最高執行責任者(COO)を務めた蒋尚義氏は「政府の補助金がなくても、現地ファウンドリー企業の収益性が明らかになるだろう」とし、「しかし、重要なのは半導体の自立性が中国本土の確固たる発展方向であり、半導体企業は必然的に自社に適した生存と発展のモデルを見出せるという点だ」と述べた。
蒋元COOは、インテルが直面している課題について、TSMCの支援を期待するのではなく、成熟したプロセス製造企業を買収して相互補完的な技術を確保することを検討すれば、成功の可能性が高まるだろうと主張した。一方、林所長はTSMCが競合他社にない強みを持っており「追いつくのは非常に難しい」と認めた。彼は、インテルやサムスンに比べてTSMCが数百の顧客を抱え、大量の製品を迅速に生産しているため、競合他社が追随するのは困難だと考えていると述べた。