
中国が米国の関税措置を受け「報復関税」を予告すると同時に、全世界を対象にレアアース(希土類)の輸出規制に踏み切った。レアアースの大部分で中国に依存している韓国産業にも悪影響を及ぼす可能性が懸念されている。韓国政府も7日、韓国国内のレアアースの備蓄状況を点検し、事態の長期化などに備えた対策の策定に着手した。
中国商務部は4日、米国に34%の「報復関税」を課すと発表し、同時に7種類のレアアースに対する輸出規制も実施すると明らかにした。これはトランプ米政権が2日(現地時間)、中国に34%の相互関税を課すと発表したことへの報復措置である。
中国が輸出規制を行うレアアースは計7種類だ。コバルト磁石に使用されるサマリウム、造影剤として使用されるガドリニウム、蛍光体原料のテルビウム、モーターや電気自動車用の磁石に添加されるジスプロシウム、放射線治療に使用されるルテチウム、アルミニウム合金向けで航空機部品などに使用されるスカンジウム、固体レーザーの製造に使用されるイットリウムが含まれる。
レアアースはスマートフォンや電気自動車などの先端技術分野および環境産業に原料として使用される不可欠な鉱物資源で、世界的に中国への依存度が高い。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は世界のレアアース生産の約60%を占めており、加工・精製産業の世界市場シェアは90%近くに達する。
韓国も国内需要のレアアースの大部分を中国に依存している。韓国政府は、中国が数年前から米中対立の中でレアアース磁石など各種資源を武器化する姿勢を示していることを受け、対応策を模索してきた。
韓国政府は2023年にレアアース磁石など185品目をサプライチェーンの安定品目に指定し、特定国からの輸入依存度を下げるための支援を強化した。特にレアアース磁石は、中国への依存度が高い「8大中核産業」の一つとして分類され、「サプライチェーン先導プロジェクト」を通じて国内の備蓄量拡大や国内生産施設の拡充などを支援している。政府はレアアースの備蓄量目標を従来の6か月分から18か月分に引き上げ、国内のレアアース・サプライチェーンの安定化を図っている。
今回の輸出規制に先立ち、中国は2023年12月、レアアースの加工技術に対して輸出禁止措置を講じた。この時の措置はレアアースそのものではなく、レアアースの精製・加工・活用に関する4つの技術に対する規制だったため、韓国産業への影響は大きくなかった。
しかし、今回の中国の輸出規制はレアアースそのものを対象としているため、韓国産業への影響が懸念される。今回の規制はレアアースに対して輸出許可制を適用する方式で、輸出許可申請があった場合、使用者や用途などを審査して輸出許可の可否を決定するという。
以前、中国は2023年に電気自動車の電池などに使われる原材料のグラファイトに対する輸出規制を強化し、同様の輸出許可制を実施した経緯がある。その際、韓国国内のバッテリー業界は悪影響を懸念したが、中国当局がポスコフューチャーエムやLGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDIなど韓国のバッテリー大手3社へのグラファイト輸出を承認したため、国内への影響は回避された。
韓国の産業通商資源部はこの日の午後、ソウルにて産業供給網政策官の主宰で中国のレアアース輸出規制に関する緊急対策会議を開き、業界関係機関と韓国国内への影響を精査し、対応策を検討する予定だ。