ブロックチェーンは長らく、投機性や変動性に焦点を当てた議論に覆われてきた。特に、暗号資産（仮想通貨）業界の外部では、極端な価格変動、詐欺的なプロジェクト、無分別な投資を軸にブロックチェーンが認識される傾向が強かった。
しかし、その技術的本質は実用性と持続可能性にあり、真の価値は現実の問題を解決することにある。
仮想通貨専門メディア「コインテレグラフ」は、こうした視点にから、近年の市場動向について分析を報じた。
同メディアによると、実用的価値を持たないブロックチェーンプロジェクトはほとんどが失敗に終わるという。単なる存在理由を求めて作られた資産は、持続可能性に欠け、一時的な投機ブームで終わる可能性が高い。一方、実質的な効果を提供する資産は、投機から脱却し、参加者の長期的な関与と価格の安定性をもたらす傾向があると説明した。
デジタル資産の安定性を評価する際、短期的な価格の変動よりも、存続期間がより重要な指標となる。暗号資産市場における変動性は避けられないが、複数の市場サイクルを乗り越えて存在感を維持するプロジェクトこそ、真の回復力を持つと言える。
昨年登場したミームコインの97%がすでに失敗していることも、この現実を反映している事例だ。ごく一部を除いて、大半は時間という試練に耐えられなかったと分析されている。
実用性と安定性には強い相関関係がある。現実の問題を解決するデジタル資産は、持続可能な選択を促進する。投機的な利益を期待する投資家ではなく、実際のニーズに基づいてプロジェクトに参加するユーザーこそが、今後の市場を支えることになる。
ステーブルコインの普及もまた、実用性が重要であることを裏付ける一例だ。過去6か月間で、ステーブルコインの時価総額は1,600億ドル（約23兆5,720億8,000万円）から2,300億ドル（約33兆8,848億7,000万円）へと増加した。
金融リサーチ企業「DeSpread Research」によると、2021年にはわずか27種類だったステーブルコインは、2024年7月時点で182種類に増加しており、約574%の成長率を記録したという。これは、国境を越えた決済を求める中小事業者やDeFiプロトコル内で流動性を必要とする開発者に実質的な価値を提供しているためだ。
また、デジタル資産の実用性を測る別の指標として、機関投資家の導入動向も挙げられる。ブラックロックは、ビットコインに対する投資を進め、ETF商品としての展開も実現させた。これは、検証済みの資産のみが顧客に実質的な価値を提供できるという機関投資家の判断を反映している。
今後、デジタル資産の未来は、どれだけ現実社会の課題に対応できるかに左右されるだろう。これはスポーツクラブも認識している点だ。「テザー（Tether）」のユベントスへの投資は、この流れを象徴的に示していると、コインテレグラフは強調している。