「国民が苦しんでいるのに」…超豪華クルーズ旅行に行ったため解任されたイランの副大統領

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が、副大統領であるシャフラン・ダビリ氏を解任した。国民が経済的困難に苦しむ中、高官がぜいたくな旅行をしたことが理由だ。
6日(現地時間)、英BBCや米CNNなどによると、ダビリ副大統領が妻とともに南極クルーズ船の前で撮影した写真がSNSで拡散され、世論の非難が高まった。これを受けて大統領府が事実関係を確認した上で、8日に解任処分を下した。
ペゼシュキアン大統領は声明で「現在のイランの経済状況を考慮すれば、この旅行は正当化できず、到底容認できない」と述べ、「たとえ私費での旅行だったとしても、今回の行為は公職者として不適切だ」と強調した。
さらに「国民が深刻な経済的圧力を受けている状況で、たとえ自費であっても公務員のぜいたくな旅行は弁明の余地がない」と語った。
続けて「経済的困難の中で、すべての公務員は『質素な生活』という原則を守るべきだが、ダビリ氏の行動はこの原則に反している」と批判した。
BBCによると、該当南極クルーズの費用は6,685ドル(約98万円)にのぼるという。
ダビリ氏は自らの非を認めてはいないものの、ペゼシュキアン大統領の解任決定を受け入れたとされる。
イランは、米国や英国、欧州連合(EU)から、パレスチナの武装組織ハマスやレバノンのヒズボラを支援していたため制裁を受けている。
国際通貨基金(IMF)によれば、昨年10月時点のイランの失業率は8.4%、年間インフレ率は29.5%に達していた。