
政府が高インフレと米トランプ政権の高関税圧力に対応するため、全国民向けの現金給付を検討している。
朝日新聞は9日、「政府・与党が所得水準に関係なく1人当たり4万~5万円の給付を積極的に検討中」と報じた。財源は今年度の補正予算に計上し、6月の国会通過を目指す。
与党内でも給付額を巡り意見が分かれている。読売新聞は、自民党が「最低でも1人3万円以上が必要」との認識で一致している一方、公明党は最大10万円まで引き上げるべきだと主張していると報じた。
今回の大規模現金給付の検討は、トランプ政権の高関税の影響が長期化するとの判断に基づいている。加えて、継続的な物価上昇による庶民の家計負担軽減が急務との認識も背景にある。
石破茂首相は今月7日、米国の関税措置について「日本にとって国難と呼べる事態だ」と危機感を表明した。林芳正官房長官も「米国の貿易制限措置が両国経済と世界貿易秩序に深刻な影響を及ぼす」と警告した。
野党からは現金給付よりも減税を求める声も上がっている。国民民主党の玉木雄一郎代表は「関税措置による日本経済への打撃は避けられない」とし、消費税引き下げによる国民負担の軽減を提案した。