
「四海の内、皆兄弟為り」
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は16日、国賓としてマレーシアを訪問中の中国の習近平国家主席との首脳会談で、中国の古典『論語』の一節を中国語で引用し、米中貿易戦争の中で中国寄りの姿勢を示した。アンワル首相は「市場アクセスは武器化され、共同成長のための多国間協定は恣意的な干渉と一方主義によって崩壊している」と述べ、トランプ政権の保護主義を暗に批判した。一方で中国については「理性的で、強靭で、信頼できるパートナー」と称賛した。
アンワル首相は16日午後、プトラジャヤの首相官邸で行われた習主席との会談で「栄光の時も試練の時も、マレーシアは中国の揺るぎない原則的な友人であり続ける」と述べ、両国関係の強さを強調した。
この日、彼はトランプ大統領の保護主義と一方主義を明確に批判した。
アンワル首相は「多国間主義が深刻な課題に直面している今、一部の国々は共同責任の原則を放棄し、他の国々は長年の約束を疑問視している」と指摘。「こうした状況下で、中国のグローバル・イニシアチブは新たな希望を提示している」と評価した。さらに「我々が直面しているのは、グローバリゼーションの欠陥に対する誠実な反省ではなく、経済的部族主義への退行だ」と述べ、関税を武器に各国と交渉を進める米国を批判した。
習主席は、マレーシアが議長国を務めるASEAN(東南アジア諸国連合)との協力を強調した。「マレーシアが今年のASEAN議長国として『包摂性と持続可能性』をテーマに掲げたことは、時代の洞察力を示している」と述べ、「中国は『デカップリング』や保護貿易主義、高い障壁を築く『小さな囲い込み』に反対し、ASEANと共に中国・ASEAN自由貿易協定の更新議定書の早期締結を望んでいる」と表明した。
両国は高度な戦略的「中国・マレーシア運命共同体」構築に向けた提案を発表した。具体的には、①2+2外交・国防対話メカニズムの構築、②両国双園(Two Countries, Twin Parks)プロジェクトの拡充、③鉄道・海運連携の強化とマレーシアの港「陸海新通路」のハブとして育成、④儒教・イスラム文明対話プラットフォームの共同設立、⑤パンダ保護協力研究の推進などが含まれる。
両国首脳は会談後、ベトナムでの首脳会談と同様に、30件以上の協力文書の調印を見守った。主な協力分野には、デジタル経済、AI、鉄道、農産物、ビザ免除、パンダ保護などが含まれる。
一方、習主席は17日にマレーシアでの日程を終え、ASEANの代表的な親中国家であるカンボジアに向かう。カンボジアは2日前、トランプ大統領から最高水準の49%の関税を課される可能性が示唆されている。習主席は、ベトナムやマレーシア訪問時と同様に、経済協力を提案し、反トランプ連合の構築を図るものとみられる。