
米トランプ政権が、韓国の釜山(プサン)を含む各国の米大使館と領事館27か所の閉鎖を検討している。トランプ政権は「政府の効率化」を目指し、政府効率化省(DOGE)を新設、各政府機関と公務員を大幅に縮小している。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)とCNNが15日(現地時間)に入手した米国務省の内部文書によると、トランプ政権は10か所の大使館と17か所の領事館を閉鎖し、複数の在外公館の人員を削減する計画を立てているという。具体的な実施時期は未定だ。CNNは「マルコ・ルビオ米国務長官が閉鎖案に署名したかは不明」と報じた。
閉鎖対象となる大使館は主にアフリカとヨーロッパに集中している。アフリカではエリトリア、ガンビア、レソト、コンゴ共和国、南スーダンが対象となり、ヨーロッパではルクセンブルク、マルタがリストに上がった。他にグレナダやモルディブなどの小国も含まれる。閉鎖された大使館の業務は、近隣国の大使館が引き継ぐ。
領事館は韓国の釜山を含め、フランスの5か所、ドイツの2か所、ボスニア・ヘルツェゴビナの2か所、イギリスの1か所、南アフリカ共和国の1か所などが対象だ。
釜山の米領事館は1984年に正式開設されたが、1998年に予算削減のため閉鎖。そして2007年に再開されたが、限定的な業務のみを行っている。米国務省の内部文書の勧告通りに閉鎖される場合、釜山の米領事館の業務はソウルの米大使館に移管されるとみられる。
また、ソマリアのモガディシュ米国大使館とイラクのバグダッド外交支援センターは撤退ではないが、規模を大幅縮小する予定だ。領事館が複数ある日本やカナダなどは、1か所に統合する案が検討されている。CNNは「米国のテロ対策に重要な役割を果たしてきた国々の外交拠点の規模が調整されている」と分析した。
米国の撤退した空白を中国が埋め、「情報安全保障」に穴が開く可能性を懸念する声もある。在外公館はビザ発給などの領事業務に加え、駐在国の情報収集も担っているためだ。オーストラリア・シドニーの外交シンクタンク、ローウィ国際政策研究所はNYTに「文書通りに実施されれば、米国はヨーロッパとアフリカで中国より外交的影響力が弱まるだろう」とし、「既にアフリカと東アジアでは、中国の公館の数が米国を上回っている」と指摘した。