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2025年04月24日木曜日
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「もうアメリカには頼れない」英国と仏、独自兵器で「独立武装時代」に備える!

引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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ヨーロッパの安全保障環境が急速に変化している。ロシア・ウクライナ戦争の長期化や地政学的リスクが高まり、さらにはドナルド・トランプ大統領の再登板による「NATO各国の国防費拡充」の圧力などが重なり、欧州連合(EU)は本格的な再軍備時代へと突入したとの見方が広がっている。

実際、EUは今年3月、加盟27カ国の軍事力強化を後押しするため、総額8,000億ユーロ(約129兆5,337億円)のうち1,500億ユーロ(約24兆2,876億円)を自前の予算で確保し、欧州製兵器の購入融資に活用する方針である。欧州防衛産業の復活を支援すると同時に、トランプ大統領の就任後、悪化する欧米間の「大西洋同盟」の崩壊可能性に備え、米国製武器への依存度を下げる戦略でもある。

最初に動き出したのは「太陽の沈まぬ国」とも称される英国である。英紙「タイムズ」によると、英国は今年夏から2年間で155㎜砲弾の国内生産量を従来の16倍にまで引き上げる計画を進めている。

タイムズによると、英防衛大手「BAEシステムズ」はNATO規格の155㎜砲弾に使われるRDX火薬の国内生産設備を拡充することにした。これにより、ウェールズ南部グラスコイドで建設中の新火薬充填施設が稼働を開始する今夏から、英国の155mm砲弾国内生産量が従来の16倍に増加する見込みだ。

この規格の砲弾は2022年のウクライナ戦争勃発以来、ウクライナに大量に供給され、英国内の在庫が危険水準まで減少したとされる。英軍は拡充された生産能力を活用し、今後2年間でウクライナ戦争による弾薬在庫の減少分を補充し、追加需要に対応する予定だ。

砲弾生産拠点も新たに3カ所追加

「BAEシステムズ」はさらに、砲弾生産拠点を新たに3カ所追加する。一部が攻撃を受けても生産機能が維持できる体制を整える。

同社はさらに、EU加盟国を優先対象に他国にもこうした砲弾生産システムを輸出し、各国の自給体制構築を支援する構想もしている。現在、英陸軍は「アーチャー」自走榴弾砲やAS-90装甲自走砲などに155mm砲弾を使用している。

タイムズは「国内の自給弾薬生産拡充は、アメリカのトランプ大統領のせいで米国が頼れないパートナーになったとの懸念が広がる中、英国とヨーロッパの防衛企業が米国製装備の購入を避ける動きの中で進められている」と分析した。

BAEシステムズは従来、米国とフランスからRDX火薬を輸入してきた。今後は米国の承認なしに砲弾など武器を使用・生産できるよう、米国製の部品や原材料が供給されなくても弾薬を生産できる能力の獲得に努めているという。

大規模戦争が勃発すれば、西側諸国の弾薬需要が急増する可能性があり、そうした事態に備え英国が火薬を自給できる体制を整える必要があるとタイムズは指摘している。

実際、BAEシステムズ内部では自社生産の弾薬が今後米国の技術や材料を使用する武器・軍事技術の輸出を規制する国際武器取引規則(ITAR)の適用を受けないよう完全な自立を目指す方針だという。これが実現すれば、現状と異なり米国の承認なしに弾薬の生産・販売が可能になる。

引用:フランス国防省
引用:フランス国防省

フランスも英国と同様に再軍備に拍車をかけ始めた。米国からの圧力が強まる中、自国の武器開発に積極的に乗り出している。

フランスは最近、2026年半ばまでに米国製M142高機動ロケット砲システム(HIMARS・ハイマース)に類似した国産ロケット砲システムの試験・構築計画を発表した。

フランスが独自のシステムを開発したわけではない。フランス装備総局

(DGA)は、サフランとMBDAのコンソーシアム、タレスとアリアンヌグループ・コンソーシアムと協力し、射程150kmの戦術打撃能力の開発を進めている。

現在、フランス陸軍はM270多連装ロケットシステム(MLRS)の現地バージョンを運用しているが、2027年に運用寿命が尽きる。従って、これに代わる長距離地上打撃(FLP-T・Frappe Longue Portée Terrestre)と呼ばれるロケット砲プログラムをフランスが積極的に推進している。

フランスの議会と軍は、代替品を海外から購入するのではなく国内で開発するという案に大きな共感を示している。サフランとMBDAのコンソーシアムは、DGAの日程に合わせ2026年半ばの試験発射を目指している。一方、タレスとアリアンヌグループ・コンソーシアムは適切な解決策を提供すべく努力しているものの、具体的な日程には言及していない状況だ。

サフランとMBDAは2024年に開催された欧州最大の防衛産業展示会ユーロサトリで、サンダート(Thundart)という227mm長距離打撃用誘導ロケットを公開したことがある。彼らは2030年以前の初期運用能力の達成を目指すと発表している。

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