韓国で大手デリバリーアプリが「配達料無料」を掲げ価格競争を展開している中、一部のフランチャイズチェーンや飲食店が、メニュー価格を店舗での価格よりも高めに設定していることが明らかになった。また、これらの価格設定について消費者にはっきりと告知せず、消費者からは不満の声があがっている。
「ペダル民族」、「Coupang eats」、「ヨギヨ」などの主要デリバリーアプリで、一部のフランチャイズチェーンや飲食店が店舗での価格とデリバリー価格で異なる価格設定を行っていることが確認された。
そのため、デリバリーアプリの「配達料無料」キャンペーンは、実質的に配達料を販売価格に転嫁したに過ぎないとの指摘が出ている。
実際、あるハンバーガーチェーンでは先月から「配達料無料」を開始したが、併せて、店舗で3,900ウォン(約450円)で販売しているハンバーガーをデリバリーで注文時には、4,500ウォン(約515円)と600ウォンも高く設定し、セットメニューは最大800ウォン高く販売している。
一部の個人飲食店も価格の差別化を適用して販売している。店舗で3,000ウォン(約350円)で販売されている韓国式のり巻きも、デリバリー注文の場合は500ウォンから1,000ウォン高く設定している。
また、フランチャイズチェーンの場合、さらに深刻な問題が発生している。店舗ごとに価格が異なる場合があるのだ。
あるフランチャイズのフライドチキン店では、同じようにデリバリーで注文をしても、A店舗では22,000ウォン(約2,500円)、近隣のB店舗では26,000ウォン(約3,000円)と日本円にして500円の差がある。
このようにデリバリーと店舗で差をつけた価格設定をすることで、消費者の不満は大きくなっているが、フランチャイズや個人飲食店は、このような問題はデリバリーアプリの手数料ポリシーによるものだと反論している。
ソウルで飲食店を経営しているC氏は、「『配達料無料』を適用するためには、デリバリーアプリに売上の一部を一定料率で支払うサービスに加入しなければならない」と述べ、「このポリシーのため、売上が増えると手数料もその分増える仕組みになっており、我々も価格を上げるしか方法がない」と語った。
実際、デリバリーアプリの「配達料無料」の特典を受けるためには、販売価格の10~13%を手数料として支払い、さらに店側が負担する配達料として追加で2500~3300ウォン(約290~380円)を負担しなければならない。さらに、消費税も店主が支払う。
消費者の不満が高まる中、一部のフランチャイズチェーンでは、デリバリー価格と店舗価格の差別化を公式に発表するところもある。既にマクドナルドとバーガーキングは異なる価格設定を導入している。大手ハンバーガーチェーンの中でロッテリアだけが、デリバリー価格と店舗価格が同一である。
パパイスコリアは、今月価格引き上げを発表し、「デリバリー価格は、店舗価格から平均5%高い価格を適用する」と発表している。
また、3月に価格を引き上げたKFCも、「デリバリー専用価格を別途導入する」と告知した。
フランチャイズ業界の関係者は、「商品価格を一律にするよう強制することは法律で禁止されている」とし、「そのため、店舗価格と大きな差をつけないようにという要請レベルだ」と話した。
デリバリーアプリ関係者は、価格の差別化が高額な手数料のために発生するという指摘に対し、「価格を別途設定しないようにデリバリーアプリが強制することはできないが、デリバリーアプリの『配達料無料』を利用するだけで売上増加の効果がある」とし、「手数料を負担に感じるなら、配達手数料の低いサービスを自由に選択すればいい」と冷静に回答した。