アメリカの成人は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染から回復まで通常20日かかったが、5人中1人以上が3ヶ月以内に回復しない「ロングコビッド」(新型コロナ後遺症)を経験しているという研究結果が出た。
米コロンビア大学アーヴィング医療センターのエリザベスC.オールスナー教授チームは、18日、米医学協会のジャーナル「JAMAネットワークオープン(JAMA Network Open)」で、新型コロナウイルス感染者4700人以上に対する分析からこのような結果を得たことを発表した。
研究チームは、2020年4月1日から2023年2月28日までの間に新型コロナウイルス感染が確認された4708人が感染後回復するまでの時間、既存疾患の有無、年齢、喫煙、社会経済的背景などを報告した14件の新型コロナウイルス、コホートデータを分析した。
研究対象者の平均年齢は61.3歳で、女性が2952人(62.7%)だった。分析の結果、彼らが新型コロナウイルスに感染後、回復するまでにかかった時間の中央値は20日だったが、感染者の22.5%は90日以内に回復しないロングコビッドを経験したことが明らかになった。回復期間には性別や既存の心血管疾患の有無、ワクチン接種、感染したウイルスの変異の種類などが有意味な影響を与えた。
ウイルスに感染後、90日以内に回復する可能性は、女性が男性より15%低く、心血管疾患がある人は疾患がない人より16%低かった。また、感染前にワクチンを接種した人は接種していなかった人より90日以内に回復する可能性が30%高く、オミクロン変異に感染した人は最初のウイルスやアルファまたはデルタ変異に感染した人より90日以内に回復する可能性が25%以上高かった。
研究チームは、慢性腎臓病疾患や糖尿病、喘息、慢性肺疾患、うつ病、喫煙なども回復期間が長くなることと関連があったものの、性別・心血管疾患・ワクチン接種・変異の種類の4つの要因を反映させた後は、有意味な関連性は確認されなかったと説明した。
このような研究結果を基に、研究チームは、女性と既存の心血管疾患を持つ者は3ヶ月以内に回復する可能性が低い一方、ワクチン接種者とウイルスの中でオミクロン変異に感染した者は3ヶ月以内に回復する可能性が比較的高いことが明らかになったと発表した。
オールスナー教授は、「この結果は、ロングコビッドが個人的、社会的に大きな負担を与え、ワクチン接種がそのリスクを減らすために重要であることを示している」と述べ、「この研究がリスク群を特定し、ロングコビッドを予防したり軽減させるのに役立つだろう」と話した。