有権者は「退陣」を求め、民主党指導部は「残留」を望む。これは、6月27日(現地時間)の大統領候補TV討論会で不調な様子を見せたジョー・バイデン米大統領に対する反応である。過半数以上の有権者が撤退を主張している一方、米民主党幹部は代案がないという理由で出馬を続けるべきだと主張している。
CBSニュースとユーゴブが6月28日~29日に実施し、同日公開した世論調査の結果、登録有権者の72%がバイデン大統領が11月の大統領選に出馬すべきではないと回答した。出馬してもいいという回答は、2月の37%から28%に減少した。2月の調査では、バイデン大統領が「大統領選に出馬すべきではない」という回答は63%だった。TV討論会を経て、この回答の割合は9ポイント増加したことになる。2月当時、「出馬すべきだ」という回答は37%だった。
民主党員を対象とした同様の質問では、「出馬すべきだ」(54%)という回答が「するべきではない」(46%)よりも高かった。しかし、2月に比べて「出馬すべきだ」(64%)という割合は減少し、「するべきではない」(36%)という回答は増えた。
登録有権者の27%だけが、バイデンが大統領職を遂行するための精神的健康と認知能力を持っていると回答した。これに対して、トランプ前大統領は50%と高かった。
しかし、ウォールストリートジャーナル(WSJ)をはじめとする米メディアは、民主党指導部と主要な寄付者たちは他の選択肢がないため、選挙運動に残留することを望んでいると報道した。
ナンシー・ペロシ前下院議長やラフィエル・ウォーノック・ジョージア州上院議員、ウェス・ムーア・メリーランド州知事など民主党関係者は、週末にテレビ出演し、バイデンの大統領選出馬に対する支持を表明した。
バイデン大統領の家族も週末にキャンプデービッド米国大統領別荘で会議を開き、出馬を続けることを強く望んでいることが報じられた。一部の家族は、この討論会の不振をホワイトハウススタッフの準備不足のせいだと非難したとAP通信が報道した。週末に政治資金集めのイベントを主催したニュージャージー州のフィル・マーフィー知事は、バイデン大統領が討論会で不振だったが、出馬をあきらめる兆候はないと明らかにした。バイデン陣営は、6月29日、米国ニューヨークのヘッジファンド「ジャナ・パートナーズ」の創設者であるバリー・ローゼンスタインが主催した資金集めイベントをはじめ、討論会が開かれた先月27日以降、選挙資金集めを通じて3300万ドル(約53億円)を集めた。
バイデン大統領の側近たちは、この討論会で90分間、うまくいかなかったことを認めつつも、選挙資金集めが順調であり、回復しているとの立場を取っている。
民主党内で候補者の交代を主張する声もあるが、遅すぎるという指摘も出ている。ネブラスカ民主党代表のジェーン・クリーブは、1〜2年前にも候補者交代論が取り上げられたが、「現時点での議論は終わった」と述べた。民主党は、バイデンが出馬を諦める場合、大統領選だけでなく、上下両院の選挙でも共和党に負ける可能性があり、混乱に陥ることを懸念している。