3日、香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、中国は最近、ベトナム当局に33の供給先のベトナム産ドリアンの輸入を中止すると通知した。ドリアン農場18ヵ所と流通業者15か所から過剰な重金属の量が検出されたからだ。
ベトナム産ドリアンは、2021年に中国への輸出許可を得た。以前はタイ産ドリアンがほぼ100%を占めていたが、ベトナムがドリアンの栽培を増やすなど猛追し、昨年はタイ産ドリアンのシェアが68%まで落ちた。
昨年、中国が輸入したドリアンの量は140万トンに達する。中国ではドリアンが富の象徴とされ、毎年需要が増加している。中国の税関データによると、2024年1~5月、タイは中国に22億ドル(約3547億円)相当のドリアンを輸出した。これは前年比2.5%減少した数値だ。一方、ベトナムの輸出額は61%増の6億6148万ドル(約1066億円)を記録した。
中国は東南アジアとの経済的な結びつきを強化するために、「ドリアン外交」を活用している。中国内でドリアンの輸入が増加したのも、東南アジア諸国との関係を強化し、地域内での影響力拡大の手段として利用するためだという分析がある。
特にマレーシアは最近、中国と急速に近づいている。6月19日、李克強(り こっきょう)中国国務院総理はマレーシアでアンワル・イブラヒムマレーシア首相と会談し、経済協力協定を更新した。
協定には、中国がマレーシア産ドリアンを輸入する内容も含まれていた。これについて、マレーシアの国営ベルナマ通信は、「中国との協定により、マレーシアの6万3000カ所のドリアン農家が恩恵を受けることになる」と明らかにした。
中国政府は、ベトナム産ドリアンの輸入の空白をマレーシア産で埋める計画だ。しかし、中国はベトナム産ドリアンの輸入を完全に中止するわけではなく、今後も続けて輸入すると明らかにした。
中国の突然の輸入制限により、ベトナムのドリアン農家や業界内外で混乱が広がっている。最近、中国がマレーシアとの経済協力など全面的な関係を強化していることから、これを念頭に置いた政治的な意図があるのではないかという声も出ている。
中国政府は通知で、「輸入制限対象の企業が重金属問題がどこから始まったのかを把握し、同様の状況が再発しないように調査を進め、対策を立ててほしい」と要求した。問題がベトナム側から始まったという名分を明確にした。