今年11月のアメリカ大統領選挙で民主党候補として出馬する予定であったジョー・バイデン大統領が候補職を辞退したことで、日本や韓国などアメリカの同盟国は、外交安全保障・経済産業分野での影響が避けられなくなった。共和党大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領が「請求書」を突きつけ同盟国を圧迫する中、次期民主党候補として有力視されるカマラ・ハリス副大統領の動向に注目が集まっている。
◇揺れ動くアメリカ大統領選
来る11月のアメリカ大統領選挙が揺れ動いている。共和党候補のトランプ前大統領に対する暗殺未遂事件が起きてから約1週間後、今度は辞退圧力に苦しんでいたバイデン大統領が民主党大統領候補職を突然辞退した。バイデン大統領はハリス副大統領を言及し、同氏を民主党候補として支持すると表明した。支持を受けたハリス副大統領は大統領候補に挑戦することとなった。
バイデン大統領の候補職辞退は予想されていたことでもある。認知症の論争をはじめ、バイデン大統領の健康問題が話題に上がる中、候補間の世論調査の差が広がり、民主党内では30人以上の上下院議員が次々とバイデン大統領の辞退を公然と要求してきたのだ。
このような状況で、トランプ前大統領が共和党大会直前の13日、暗殺未遂事件に遭いながらも「戦おう」とのジェスチャーを見せ、再びバイデン大統領が新型コロナに感染し足止めされるなど、悪材料が相次いだ。党と支持者に大きな影響力を持つバラク・オバマ元大統領やナンシー・ペロシ前下院議長などもバイデン大統領から背を向けた。
民主党は来月19日から22日にかけて、イリノイ州シカゴで党大会を開催する前に、来月初めにオンラインで候補者選出を行う予定である。ハリス副大統領と共に、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー氏、イリノイ州知事のJ.B.プリツカー氏などが新たな候補として挙げられている。
◇背を向けるシリコンバレー、韓国は?
「革新の象徴」かつ「先端技術のメッカ」と呼ばれるアメリカのシリコンバレーのリーダーたちも、民主党から共和党へと支持政党を変えている。ワシントンポスト(WP)は、バイデン政権が人工知能(AI)や仮想通貨などの技術産業に対する規制を強化する中、テクノロジー産業のリーダーたちが背を向けていると報じた。シリコンバレーは民主党の地盤として分類されている。民主党を象徴するカリフォルニアから共和党を象徴するテキサスへの会社移転の動きも加速している。テスラ社のイーロン・マスクCEOがその代表例である。
アメリカとは血盟であり、密接な関係を結んでいる韓国でも備えるべきだという声が強まっている。アメリカ大統領選の結果はもちろん、アメリカ議会の上下院選の結果にも注目すべきであるとのことだ。韓国と密接な半導体支援法やインフレーション削減法(IRA)などの法案は、大統領だけでなく、アメリカ議会の議席数によっても変わる可能性があるからだ。
チョ・サンヒョン韓国貿易協会国際貿易通商研究院長は、「民主党の新しい大統領候補の公約、政策の方向性がバイデン大統領と100%一致することはないだろう。韓国の立場から見ると政策の不確実性が高まったと言える」と述べた。続けて「上下院選がどのような影響を及ぼすかも綿密に検討する必要がある。トランプ候補が言及するIRA改正などの問題は、韓国に大きな影響を及ぼす一方、最終的には議会で改正の可否が決まるからである」と説明した。
◇トランプ、依然として強気
先週末、バイデン大統領とトランプ前大統領の支持率は44.7%対47.7%で、3%pの差があった。当選確率は18%対63%で、トランプ前大統領が45%pもリードしていた。ハリス副大統領もトランプとの対決で支持率は46.3%対48.2%で1.9%p、当選確率は28%対63%で35%pの差で劣っていた。
これまでバイデン政権との協力に力を入れてきた韓国政府は、韓米同盟の堅固さを強調し、一部から懸念される「リスク」については言及しなかった。大統領室は「韓米同盟に対するアメリカ国内の支持は超党派である。我が政府は韓米グローバル包括戦略同盟を継続的に発展させるため、アメリカ側と引き続き緊密に協力していく予定である」と明らかにした。