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4月から育児支援制度が強化される。夫婦がともに14日以上の育児休業を取得すると、最大28日間、実質所得の100%が保障される仕組みが導入される。男性の育児休業取得率を向上させ、少子化対策につなげることを目的としている。
さらに、育児のために短時間勤務を選択した場合の所得減少を補填する新制度も設けられる。
日本経済新聞が25日に報じたところによると、現行制度では、原則として子どもが1歳になるまで育児休業を取得できる。従来の育児休業給付では、休業開始から180日間の支給率が休業前の給与(残業手当や交通費を含む)の67%で、非課税措置や社会保険料免除を考慮すると、実質的な受給額は給与の約80%に相当する。181日以降の支給率は50%で、実質的な受給額は給与の約60%に相当する。
4月から育児休業給付の追加支援制度が新設される。両親が共に育児休業を取得する場合、それぞれ28日間、既存の給付率に13%を上乗せし、実質的な受給額が減少しないようにする。配偶者が個人事業主などで雇用保険に未加入の場合でも、本人が14日以上の育児休業を取得すれば給付率が引き上げられ、ひとり親家庭も同様に対象となる。
育児休業給付率は1995年の制度導入当初は25%だったが、徐々に拡充されてきた。しかし、男性の育児休業取得率が低い要因として、所得減少への懸念が最大の障壁とされてきた。2022年の厚生労働省の調査では男性正社員の約40%が「収入が減るのが嫌だから」との理由で育児休業を取得しなかったと回答している。
また、育児のために短時間勤務を選択した労働者には減少した給与の10%を補填する新制度が導入される。対象は2歳未満の子どもを持つ労働者で、育児による所得減少を補うことで仕事との両立を支援する狙いがある。
育児休業の活用を促進するには代替要員の確保も課題とされている。一方、厚生労働省が2021年に実施した調査によると、「代替要員を補充せず、既存の社員が業務を分担した」とする企業が80%に上った。業務負担の増加を懸念する声もあり、職場環境の整備が求められている。