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中東レバノンに滞在する元日産自動車会長カルロス・ゴーン氏(71)が業績不振とホンダとの提携交渉がまとまらなかった日産を厳しく批判した。ゴーン氏は「過去の成功にとらわれ、立場を過信していることが問題だ」とし、根拠のない自信が経営の障害となっているとの見方を示した。
また、ゴーン氏は『週刊ポスト』のインタビューで、「日産の社員は過去の実績に誇りを持っており、ホンダとの提携案を受け入れることに抵抗があっただろう」と指摘した。
日産は1933年に創業し、かつてはトヨタに次ぐ国内第2位の自動車メーカーとしての地位を確立していた。しかし、EV(電気自動車)の普及が進む中で、中国をはじめとする海外メーカーとの競争が激化し、業績は低迷している。昨年の第2・3四半期の純利益は前年同期比90%以上減少し、厳しい経営状況が続いている。
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日産は昨年12月、世界7位の自動車大手ホンダとの経営統合を推進する方針を発表した。実現すれば、トヨタ、フォルクスワーゲンに次ぐ世界第3位の自動車メーカーが誕生するとされ、業界の注目を集めた。しかし、この構想は短期間で行き詰まり、13日に正式に破談となった。
ゴーン氏は経営破綻寸前だった日産の再建を託され、大胆な構造改革を実施し、黒字転換を実現した。ブラジル出身の実業家で、フランスの自動車大手ルノーの副社長を務めていた1999年、ルノーと日産の資本提携に伴い日産のCOOに就任した。
2001年にCEOに昇格後、全従業員の15%に当たる2万人の人員削減、国内5工場の閉鎖、販売店網の大幅縮小などの抜本的な改革を断行。バブル崩壊後、2兆円を超える負債を抱えていた日産を短期間で黒字に転換させた。
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2018年、ゴーン氏は金融商品取引法違反や特別背任の容疑で起訴され、逮捕後、約10億円の保釈金を支払い釈放されたが、自宅軟禁下で裁判を待つ中、2019年12月にレバノンへ逃亡した。
ゴーン氏はレバノンの民間警備会社を雇い、音楽家を装った警備員らと共に大型楽器ケースに身を隠して空港の警備をすり抜けた。この事件を受け、関西国際空港では貨物検査が強化された。
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現在、レバノンに滞在しているゴーン氏は起訴した検察や日産を厳しく批判し続けている。当時の起訴を巡っては日産の役員と捜査当局が共謀したとの疑惑が根強く残る。例えば、2011年から2015年にかけて50億円の所得を過少申告したとされるが、これが世界的な自動車メーカーのCEOを逮捕するほどの事案だったのか疑問視する声もある。また、ゴーン氏は検察が「無罪推定の原則」を無視し、家族の安全を人質に自白を強要したと批判している。
ゴーン氏は「日産とホンダの破談の原因は何か」との問いに対し、「両社には強みと弱みが重なる部分が多く、相互補完の関係にはならなかった。仮に経営統合しても、成功は難しかっただろう」と述べた。電気自動車ではなくハイブリッド車を主力とする両社が統合しても、グローバル市場での競争力確保は困難だったとの見方を示した。
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日産とホンダは当初、2026年に共同持株会社を設立し、両社がその傘下に入る形での合併を検討していた。しかし、ホンダはこの案を撤回し、日産を買収して子会社化する案を提示した。日産が難色を示したため、交渉は決裂した。ゴーン氏は「ホンダが子会社化を求めたのは、日産の経営陣の刷新が必要だと判断したためとみられる」との見解を示した。
日産は昨年12月の合併推進発表後、全従業員の7%に当たる9,000人以上を削減し、生産体制も20%縮小した。しかし、こうした大規模なリストラもホンダの要求を満たすには至らなかったとみられる。ゴーン氏は「日産の問題はコスト削減ではなく、リーダーシップにある」と指摘し、「適切な製品への投資やブランド強化、将来の明確なビジョンが不可欠だが、現在の日産にはそれが十分に備わっていない」と述べた。
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