
ニューヨーク株式市場主要3指数は22日(現地時間)、いずれも2.5%を超える大幅上昇を記録した。
米中が近いうちに貿易戦争を終結させ、 和解に至るとの期待が投資家心理を好転させた。
この日の主要3指数の急騰は、前日の下落分を完全に取り戻す水準を超えた。
一方、テスラは取引終了後に発表した第1四半期決算で、自動車部門の売上高が前年同期比20%の大幅減少を記録。時間外取引では株価が上下に振れる展開となった。
わずか1日で下落分を回復
スコット・ベッセント財務長官に続き、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官が米中貿易の和解可能性を示唆したことで、株価が急騰した。
レビット報道官は、ドナルド・トランプ大統領の政策目標が中国と米国の経済のデカップリングではないと述べ、対中貿易和解プロセスが順調に進んでいると説明した。
前日約2.5%下落していた主要3指数は、この日一転して約2.6%の上昇となった。
ダウ工業株30種平均は前日比1,016.57ポイント(2.66%)急騰して3万9,186.98、S&P500指数は129.56ポイント(2.51%)上昇して5,287.76で取引を終えた。
この日の上昇率は、前日の下落率2.48%、2.36%をそれぞれ上回った。
前日2.55%下落していたナスダック総合指数も、この日は429.52ポイント(2.71%)上昇し1万6,300.42で終了。1万6,000ポイント台を回復した。
「ウォール街の恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は3.25ポイント(9.61%)急落し、30.57となった。
テスラ、時間外取引で方向感なし
テスラは通常取引で急騰した。
取引終了後に発表予定だった第1四半期決算への期待から、10.47ドル(4.60%)上昇し237.97ドル(約3万3,768円)で取引を終えた。
時間外取引では上下動を繰り返した。
テスラが市場予想を下回る決算を発表したことに対し、解釈が分かれたためだ。否定的な見方と、この程度の業績悪化はすでに株価に織り込み済みとの意見が交錯し、明確な方向性を見出せなかった。
テスラの第1四半期売上高は193億4,000万ドル(約2兆7,400億円)、調整後の1株当たり純利益(EPS)は0.27ドル(約38円)と、市場予想を下回った。
ウォール街のアナリストは売上高211億1,000万ドル(約2兆9,900億円)、EPSは0.39ドル(約55円)と予想していた。
総売上高は前年同期の213億ドル(約3兆円)から9%減少。テスラ不買運動の影響で電気自動車部門の売上高は20%急減し、174億ドル(約2兆4,700億円)から140億ドル(約1兆9,900億円)に縮小した。
純利益は前年同期の13億9,000万ドル(約1,970億円、1株当たり0.41ドル(約58円))から、今年第1四半期には4億900万ドル(約580億円、1株当たり0.12ドル(約17円))へと71%急減した。
年初来のテスラ株価は21日までに40%以上下落しており、空売り投資家は115億ドル(約1兆6,300億円)の評価益を得たとの試算もある。
テスラ株は時間外取引で上下動を繰り返した。
アップル、3.4%急騰
米中貿易和解への期待感から、テスラに加え他のM7ビッグテック銘柄も軒並み大幅高となった。
特にアップルの上昇が目立った。
国別市場では、2番目に大きな中国市場を持ち、主要生産拠点も置くアップルにとって、米中貿易交渉の妥結は関税負担の軽減につながり、中国消費者の否定的な態度も和らぐとの期待が高まった。
アップルは6.58ドル(3.41%)上昇し199.74ドル(約2万8,341円)で終えた。
マイクロソフト(MS)は7.70ドル(2.14%)高の366.82ドル(約5万2,048円)、エヌビディアは1.98ドル(2.04%)高の98.89ドル(約1万4,032円)で取引を終えた。両社は市場全体の上昇率を下回った。
アルファベットは4.04ドル(2.70%)上昇し153.90ドル(約2万1,837円)、中国事業の比重が高いアマゾンは5.86ドル(3.50%)高の173.18ドル(約2万4,573円)となった。
メタ・プラットフォームズは15.62ドル(3.22%)上昇し500.28ドル(約7万985円)で取引を終えた。
ボーイング、3M、ファースト・ソーラー
ボーイングは、デジタル航法装置部門のデジタル・アビエーション・ソリューションズの一部をプライベートエクイティ企業のトーマ・ブラボーに105億5,000万ドル(約1兆5,000億円)で売却すると発表し、株価が上昇した。
ボーイングは3.18ドル(2.00%)高の162.52ドル(約2万3,060円)で取引を終えた。
3Mは市場予想を上回る四半期決算を発表し、10.24ドル(8.12%)急騰して136.33ドル(約1万9,344円)となった。
トランプ大統領の関税政策の恩恵を受けた銘柄もあった。
太陽光発電機器メーカーのファースト・ソーラーは12.90ドル(10.53%)急騰し135.35ドル(約1万9,205円)で終えた。
トランプ政権がタイ、ベトナム、カンボジア、マレーシアなど東南アジア諸国から輸入する太陽光関連製品に最大3,521%の関税を課す方針を示したことを受け、株価が急騰した。