
ドナルド・トランプ米大統領が連邦準備制度(Fed)の独立性と米中貿易摩擦に対する懸念を和らげる発言を行ったことを受け、米国株式市場は23日(現地時間)に上昇して取引を開始した。
取引開始時点でダウ工業株30種平均は前日比837.33ポイント(+2.14%)高の4万24.31で取引されている。S&P500指数は135.82ポイント(+2.57%)上昇し5,423.58で、ハイテク株中心のナスダック総合指数は549.05ポイント(+3.37%)上昇し1万6,849.47で取引を開始した。
トランプ大統領の発言が投資家心理を後押しした。トランプ大統領は前日午後、ホワイトハウスでのメディア対応において、中国の習近平中国国家主席とのとの関係について「良好な関係を維持している」と繰り返し強調した。また、対中交渉に関して「非常に順調に進んでいる」と評価。現在145%に達する対中追加関税についても「非常に高い」と認めつつ、交渉が行われれば「そこまで高くはなく、かなり下がるだろう」と述べた。
さらに、最近取り沙汰されていた米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の解任の可能性については、「彼を解雇するつもりは全くない」とし、「彼が金利引き下げのアイデアにもっと積極的になることを望んでいる」と述べた。
トランプ大統領が市場をなだめるメッセージを積極的に発信したことで、米国債への買いも進んだ。この時点で、米30年物国債利回りは15bp(1bp=0.01%ポイント)急落し4.732%で取引されており、10年物利回りも12.7bp下落し4.268%で取引されている。国債利回りの低下は価格の上昇を意味する。
ドル価値も上昇している。主要6カ国通貨に対するドル価値を示すドル指数は前日比0.22%上昇し99.14となり、99ポイントの水準を回復した。
一方、安全資産として急騰していた金価格は大幅に下落している。「マーケットウォッチ」によると、金先物価格は前日終値より3.06%安の1オンス当たり3,314ドル(約47万3,155円)で取引されている。金価格は前日、1オンス当たり3,500ドル(約49万9,711円)を超える場面もあった。
ペッパーストーンのリサーチストラテジスト、アマド・アシリ氏は「金価格が3,500ドルまで急騰し、複数の指標で買われ過ぎの水準を記録した強い上昇の後にトランプ大統領の発言に関するニュースが出た」とし、「長期の買いポジションを減らし、利益の一部を確定するシグナルを送った」と金価格の動向を説明した。
一方、エバーコアISIのクリシュナ・グハ氏率いるアナリストチームは、トランプ大統領がパウエル議長を解任する意図がないと宣言したことについて「明らかにポジティブなこと」としつつも、実際にトランプ大統領がこの発言を守るかどうかは不確実だと分析した。同チームは「今回の発言により、スタグフレーションと関税危機が国家的な債務危機へと発展するリスクにつながる可能性を大きく減少させるが、これらのリスクは依然として存在する」と報告書に記した。「関税ショックにより米国の成長率が1%に低下し、不況に陥るリスクが35~40%に達する」と予想した。彼らは「経済は依然として巨大な関税ショックに対処しなければならない」と警告している。
実際、米中関係に関しては、トランプ大統領の発言ほど容易ではないという見方も根強い。これに関連して、スコット・ベッセント財務長官は「米中貿易の緊張が緩和されると信じているものの、中国との交渉はまだ始まっておらず、難航するだろう」と異なるトーンの発言をした。