
中国のファストファッション企業シーイン(SHEIN)が、ドレスからキッチン用品に至るまで、さまざまな製品の米国内販売価格を大幅に引き上げた。
ドナルド・トランプ米大統領政権が小型貨物に対する関税賦課を予告した中で、シーインの今回の措置は、貿易戦争が米国一般消費者に与える影響を見極めるためのサインと受け止められている。
27日(現地時間)、ブルームバーグによると、シーインは25日に大多数の製品の米国内価格を引き上げたという。
品目ごとに値上げ幅には大きな違いがあった。ビューティー・ヘルス部門上位100製品の平均価格はわずか1日で51%上昇。ホーム・キッチン製品と玩具部門は平均30%以上、レディースウェアは8%以上値上がりした。10枚セットのキッチンタオルの価格はなんと377%も急騰した。
4月24日から26日までさまざまなカテゴリーで50製品を選定して分析した結果、米国内価格は平均約10%上昇していた。
今回の値上げは、米国政府が中国本土および香港発小型貨物に適用してきた「デ・ミニミス免税」の優遇措置を終了することに伴い、予告された関税負担を反映したものだ。
優遇措置の終了により、シーインやテム(Temu)など中国系ECプラットフォームは多くの品目について最大120%に達する高率関税を負担することになる。
これまで米国税関では800ドル(約11万4,300円)未満の商品に対して関税と通関手数料を免除してきたが、今回の措置により来月2日からは郵便物1件あたり100ドル(約1万4,300円)の手数料が課される。6月1日以降はさらなる引き上げも予定されている。
ブルームバーグは「トランプ大統領はこれまでエネルギーや食品価格の下落により事実上インフレーションは存在しないと主張してきたが、シーインの今回の価格調整は、中国企業が追加された輸入コストを米国消費者に転嫁し始めたことを示している」と指摘した。
シーインは米国の関税政策を回避するため、今年2月に一部中国協力企業に対しベトナム生産設備の設立を促すインセンティブを提供した。テムは「半通関体制」を導入し、中国工場から米国倉庫へ直接大量配送する方式を進めている。
半通関体制とは、高額な関税負担を抑えるために、中国工場から米国倉庫まで直接大量に配送し、その後米国内で消費者に配送する方式を指す。これまでは中国から米国消費者宅まで直接小包で送っていた。