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米国で収監中の死刑囚が死刑方法として銃殺刑を選択した。銃殺刑が執行されれば、サウスカロライナ州では初の事例となり、全米では15年ぶりとなる。
24日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、サウスカロライナ州の刑務所に収監中のブラッド・シグモン(67歳)が自身の死刑方法として銃殺刑を選択した。サウスカロライナ州当局は3月7日に予定されている死刑執行に向け、電気椅子、毒物注射、銃殺の3つの選択肢を提示していた。
2001年、シグモンはサウスカロライナ州テイラーズで元交際相手の両親を殺害し、死刑判決を受けた。当時、元交際相手の誘拐を試みたが、彼女が車から逃げ出したため未遂に終わり、逃走した元交際相手に発砲したとされる。
現在、米国で銃殺刑を法的に認めているのはサウスカロライナ、ユタ、ミシシッピ、オクラホマ、アイダホの5州のみ。しかし、実際の執行例は極めて少なく、近代史での実施はユタ州に限られる。同州では1977年、1996年、2010年の3回執行された。
米国の多くの州では死刑執行に毒物注射が採用されているが、シグモンはその効果に懸念を示し、銃殺刑を選択した。弁護士のジェラルド・ボー・キングは過去にサウスカロライナ州で毒物注射が適切に作用せず、死刑囚が20分以上苦しんだ事例を指摘。「電気椅子は残酷で、毒物注射は安全性に疑念があるため、シグモンには銃殺刑以外の選択肢がなかった」と述べた。
さらに、刑務当局が死刑囚に死刑方法を選ばせる仕組み自体に疑問を呈し、「死刑囚に極めて過酷な選択を強いている」と批判した。シグモンは、最も苦痛の少ない方法を自ら選ばざるを得ない状況に置かれたとしている。