
中国の年次最大の政治行事である両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)が4日から約1週間開催される。
国政の諮問機関である全国人民政治協商会議(政協)は4日、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)は5日に、それぞれ中国北京の人民大会堂で開かれる。
最大の注目点は今年の経済成長率目標の発表である。経済成長率は両会開幕2日目の5日午前、李強(リー・チャン)首相の政府活動報告で公表される予定だ。
中国は過去2年間、国内総生産(GDP)成長率目標を5%前後に設定してきた。中国政府は2023年に5.2%、昨年に5.0%の成長率を達成し、目標値に達したと発表した。
また、中国は消費者物価指数(CPI)目標値を2004年以来初めて2%に引き下げると予想される。中国政府はこれまでCPI目標値を3%に設定してきたが、実際の上昇率に合わせて現実的な調整が行われる見込みだ。
財政赤字率は昨年の3%から今年は約4%に引き上げられる見込みだ。積極的な財政政策を通じて内需喚起を図るとされており、これにより約1兆3000億元(約26兆7,925億円)規模の財政支出能力が拡大し、赤字規模は5兆5000億元(約113兆3,889億円)を超えると予想される。
今回の両会では民間企業の革新促進、科学技術分野の研究開発費の拡大などの景気回復対策が示される見込みだ。
昨年12月に開かれた中国共産党中央工作会議では今年の経済政策の重点方針として、全方位的な内需拡大、技術革新、民間経済の促進、雇用の安定と社会保障の拡充などが示された。
特に今回の両会では「第2のディープシーク」のような科学技術支援策が打ち出されると予想される。昨年、中国政府のR&D投資額は総額3兆6130億元(約74兆5,105億円)で、前年比8.3%増加した。中国政府は2016年以降、毎年平均10%以上のR&D予算を増額してきた。
さらに、トランプ大統領が主導する関税戦争について、どのようなメッセージを発するかも注目される。偶然にも、トランプ氏が中国に対して再び10%の追加関税を課す意向を示した時期が両会の開幕日と重なっている。
トランプの第1期政権が発足した直後に開かれた2017年の両会では当時の李克強(リー・コーチアン)首相が「中米関係には紆余曲折があった」としつつ、「中国はアメリカとの貿易戦争が現実化することを望んでいない」と述べた経緯がある。