
米国の卵価格が鳥インフルエンザの影響で史上最高値を記録し、最大手の卵供給業者カルメイン・フーズの創業者一族が巨額の利益を得た。
フィナンシャル・タイムズ(FT)は1日(現地時間)、カルメイン・フーズの創業者一族が莫大な利益を得ることになったと報じた。
カルメインが米国証券取引委員会(SEC)に提出した開示書類によると、創業者フレッド・アダムス・ジュニアの4人の娘と婿が保有する超議決権株を普通株に転換することで和解し、巨額の資金を得ることになった。
この超議決権株は普通株式と価格は同じだが、1株につき10票の議決権を持つ。
超議決権株を普通株式に変更すると、創業者一族の議決権比率は53.2%から12%に低下する。
創業者一族はドーターズ(娘たち)LLCという特別目的会社を通じてカルメインの株式を保有している。
保有株式の評価額は先月28日の終値ベースで5億3,200万ドル(約794億9,904万円)に達する。このうち、超議決権株が4億3,400万ドル(約648億5,448万円)、普通株式が9,800万ドル(約146億4,456万円)を占める。
ミシシッピ州リッチランドに本社を置くカルメインは5億ドル(約747億1,714万円)の自社株買いを決定し、これにより創業者一族は巨額の利益を得ることになった。20年ぶりの自社株買いとなる。
カルメインは創業者一族が保有する普通株式を買い取る計画だ。
調査会社ベリティのベン・シルバーマン副社長は創業者一族が一部の株式を会社に売却するか、全株式を手放す過程を円滑にするための措置だと分析した。彼は「企業が大株主の株式を買い戻すことは珍しいことではない」と述べた。
カルメインの株価は過去1年間で62%上昇した。先月21日に記録した高値114.23ドル(約1万7,070円)を基準にすると、株価上昇率は104%を超える。
米国の卵価格が史上最高水準に高騰したことが要因だ。
商品価格情報提供会社エクスパナによると、先週の12個入り卵の卸売価格は8.58ドル(約1,282円)で、1年前と比べて70%急騰した。
米農務省によると、鳥インフルエンザの影響で2022年以降、米国で鶏やシチメンチョウ、雌鶏などの1億羽が殺処分された。このため、卵不足が深刻化し、卵価格が急騰している。
危機の中、カルメインは好況に沸いている。
カルメインが先月発表した第4四半期の純利益は3億5,600万ドル(約531億9,860万円)で、前年同期比4倍に急増した。
小規模農家はカルメインが卵の供給を制限し、価格を操作していると主張している。この主張には根拠がないわけではない。
カルメインは複数の養鶏業者と共に2023年の価格カルテル容疑が認められ、クラフト・フーズ、ゼネラル・ミルズ、ネスレなどの食品メーカーに5,300万ドル(約79億2,002万円)の賠償を命じられた。カルメインと養鶏業者はこれを不服として控訴した。
一方、ドナルド・トランプ政権は先週、鳥インフルエンザの拡大を防ぐために10億ドル(約1,494億3,429万円)を投入し、卵価格を引き下げるために卵の輸入を増やす一方で、輸出を制限する方針を打ち出した。