
米国のトランプ政権が対外援助機関である米国際開発庁(USAID)の事実上の廃止に乗り出し、世界的に結核の拡散リスクが高まるとの懸念が広がっている。10日(現地時間)、米NBCはトランプ政権の支援削減が原因で、世界の結核予防・診断・治療システムが急速に崩壊していると報じた。
世界保健機関(WHO)によると、結核は世界で最も多くの死者を出す感染症で、2023年の結核による死者数は125万人に達した。同年、新たに結核と診断された患者数は820万人で、これは1995年に統計を取り始めて以来、最も多い年間新規患者数となった。
トランプ政権発足後、事実上解体の危機に瀕しているUSAIDは、これまで結核撲滅に最も大きく貢献してきた機関の一つだとNBCは伝えている。USAIDは最近まで、世界の結核撲滅に必要な予算の4分の1にあたる年間最大2億5000万ドル(約370億円)を提供しており、WHOはその巨額な支援を基に、世界24カ国で結核撲滅プログラムを実施してきた。WHOは、「米国の支援削減により、特にアフリカ諸国など18カ国が深刻な影響を受けるだろう」と懸念を示している。
国連の下部組織で結核撲滅を目指す「ストップ結核パートナーシップ」によると、トランプ政権発足直後の昨年1月24日以降、USAIDの援助中断が原因で3,600人以上の結核による死亡者と、6,400人以上の新規感染者が発生したと分析されている。
特に、海外で結核が拡散すれば、米国への流入リスクも高まる。実際、1985年から1992年にかけて米国で結核が再流行した時期は、結核対策プログラムが削減され、世界的に結核が拡大していた時期と重なっていた。