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2025年04月25日金曜日
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脱ロシア叫ぶEU、LNGだけは止められず…安さと依存のジレンマで乱れる足並み

引用:Shutterstock
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欧州連合(EU)は、ロシアの液化天然ガス(LNG)への依存を大幅に低下させる方策を検討している。「エネルギーの脱ロシア化」を推進し、パイプラインを通じたロシア産ガス(PNG)の輸入は減少したが、LNGの輸入は逆に増加している。ただし、EU加盟国間の利害関係が対立しているため、一致した声を上げることが難しいとの指摘がある。

22日(現地時間)のロイター通信によると、EUは域内企業がロシア産化石燃料の新規契約を法律で禁止する方策を検討中だ。欧州の高官は「現在策定しているエネルギーの脱ロシア化の一環として、関連禁止法の制定可能性を検討している」と明らかにした。EU企業がロシアと締結した既存のガス供給契約を違約金なしで早期解約できる政策も推進中とされる。EUはロシア産に対する新たな貿易制限措置など、様々な関連方策も検討している。

2022年、EU加盟国はロシア産化石燃料への依存を低下させるため、「REPowerEU(リパワーEU)」政策を実施した。ウクライナを侵攻したロシアが欧州地域へのガス供給を減少させ、ロシア・ルーブルでの決済を要求するなど、エネルギーを武器化したためだ。当時、EUが輸入した天然ガスの40%以上をロシアが供給していた。EUは2027年までエネルギーの脱ロシア化を完了することを目標としている。

この政策の効果は現れている。欧州議会によると、EU全体のガス輸入におけるロシアの占有率は2021年の45%から昨年は18%まで低下した。PNG輸入はウクライナ侵攻前より80%以上減少した。EUが輸入を義務的に減少させた影響もあるが、主要パイプラインである「ノルドストリーム1」のガス管が2022年9月の爆発事故により稼働を停止したためだ。「ノルドストリーム2」は同年2月、ドイツがロシアのウクライナ侵攻に対する制裁として使用承認の手続きを中断した。

現在、EUに向かうPNGの唯一のルートは、黒海を経てトルコを通り中部ヨーロッパに至る「トルコストリーム」パイプラインだけだ。他のロシアのパイプラインである「ブルーストリーム」はトルコにのみ供給している。

一方、EU加盟国のロシア産LNG輸入は増加した。EU統計局ユーロスタットによると、昨年第4四半期のEUのロシア産LNG輸入量は2021年第1四半期より18%増加したという。昨年の時点でEUが輸入した全体のガス・LNGの19%がロシア産だった。

ロシア産LNGの主要輸入国はフランス、ドイツ、イタリア、スペインなどだ。フランスの昨年のロシア産LNG輸入量は、1年前より80%以上増加した。トタルエナジーズ(フランス)、SEFE(ドイツ)、ナトゥルジー(スペイン)など、該当国のエネルギー企業がすでに長期契約でロシア産LNGを確保しているためだ。また、ロシア産LNGは米国産より価格が安い。米国産LNGの価格(ヨーロッパ到着基準)はMMBtu(百万英国熱量単位)あたり10~16ドル(約1,428~2,285円)だ。ロシア産は8~12ドル(約1,143~1,714円)とされている。

昨年、エネルギー輸入でEUがロシアに支払った金額は219億ユーロ(約3兆5,474億円)だ。EUが同期間にウクライナに提供した財政支援額(約3兆290億円)よりも多い。英国の気候・エネルギーシンクタンク「EMBER」は、「このような状況は、EUの2027年ロシア産ガス輸入の全面中止目標と矛盾し、結果的にロシアの戦争資金を支援し、EUのエネルギー安全保障を脅かす」と指摘した。

EUは現在議論中の新たな対ロシア制裁案に、LNG輸入禁止措置を盛り込もうとした。しかし、ロシア産への依存が高く供給不安定を懸念する一部加盟国の反対により、頓挫したとされる。EUは共同外交・安全保障政策に関する事項は、理事会で加盟国全体の合意により決定する。

欧州委は特定多数決方式(QMV)で「エネルギーの脱ロシア化」政策を推進すると予測されている。それには、加盟国の55%以上(27か国中、少なくとも15か国)が賛成し、賛成した国の人口がEU全体の人口の65%以上でなければならない。欧州委は関連のロードマップを来月6日に発表する予定だ。欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、最近記者会見で「ロシア産ガス輸入を段階的に中止することに全力を尽くしており、これは絶対に欠かせない」と強調した。

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