
インドでは、犬の散歩や凧揚げのような日常的な行動さえも刑事処罰の対象となり、国民の生活を締め付けている。小さなことで国民を罰する法律が乱立しているため、司法システムに過負荷が生じ、社会的混乱が深まっているとの指摘も出ている。
27日(現地時間)、BBCなどの海外メディアによると、インド・デリーに位置するシンクタンク、ヴィディ法律政策センターは、インドが国民の些細な行為まで犯罪として規定し、刑法で解決しようとする「過度な犯罪化の危機」に直面しているという内容の報告書を最近発表した。
インドには合計882本の連邦法が存在し、このうち370本が刑事罰条項を含んでいる。これらの法律はすべてで7,305件を犯罪として規定しており、街中で動物をつないだり、不安を引き起こす方法で凧を揚げたりする行為までもが刑事罰の対象となっている。公共の場にヤギをつないだり、無免許で水漏れする蛇口を修理したり、要求された際に建物の所有者の名前を言わなかった場合にも処罰される可能性がある。
さらに驚くべき法律もある。保護者が学校の出席命令を無視したり、運転免許取得禁止命令を受けたにもかかわらず免許を申請したり、動物園にゴミを捨てたりする行為まで、すべて処罰対象だ。豚を野原や道路に放置すると10ルピー(約20円)の罰金が科される。
動物園で動物を虐待したりゴミを捨てると、6カ月の懲役または2,000ルピー(約3,400円)の罰金が科される。犬を十分に散歩させないと最大100ルピー(約170円)の罰金と3カ月の懲役刑に処される可能性がある。
また、妊婦や産婦に粉ミルクや哺乳瓶を勧める行為は、最大3年の懲役または5,000ルピー(約8,400円)の罰金刑を受ける可能性がある。これは元々、粉ミルク会社の攻撃的なマーケティングを抑制するための法律だったが、個人にも適用されるため論争を呼んでいる。
インドでは懲役が最も一般的な処罰方式であり、全犯罪の73%が最短1日から最長20年の懲役刑に該当する。
ヴィディ法律政策センターの研究共同著者ナビード・メフムード・アフマドは「これらの法律は積極的に執行されているわけではないが、賄賂を要求する機会を十分に生み出している」とし、「誰でも逮捕され得る十分な法的根拠が存在する。実際の適用よりも濫用の可能性の方が問題だ」と語った。
報告書はまた、犯罪と刑罰の間にいくつかの不均衡な事例があると指摘している。例えば、暴動は最大2年の懲役刑だが、出生・死亡を虚偽報告した場合は3年の懲役刑となる。公共の場での暴力行為が、書類上の嘘よりも軽い処罰を受ける格好だ。
これは国家全体にも大きなコストをもたらしているとの分析だ。インドの裁判所には3,400万件以上の刑事事件が係属しており、このうち72%が1年以上遅延している。刑務所は収容能力の131%で過密状態にあり、裁判所と警察は慢性的な人手不足に悩まされている。
報告書は「刑法は公共の安全、国家の安全、生命、自由、財産および社会的調和といった核心的な社会的価値が脅かされた場合のみに限定されるべきだ」と提案している。